| 第93回青島ビールも泣いた! 華潤と政府の結びつきとは
 華潤集団が対外貿易経済合作部(現・商務部)を背景として、
 産業投資を加速、
 「中国社会で、どのようなシーンでも
 華潤を見かけないことはない」
 ほどになる過程で、
 面白いエピソードがあります。
 いずれお話しすることですが、華潤集団の事業の一つに
 ビール事業があります。
 この方面でもM&A(合併・買収)を
 強力に推し進めた華潤集団は、
 当然のことながら、
 青島ビール(チンタオビール、0168)と競合、
 真っ向から対決することになりました。
 中国のビール業界は、さながらM&A合戦ともいうべき状態で、
 現在もそうした状態はある意味で、
 継続しているのですが、
 有力なメーカーによる
 地方の中小メーカーの買収がトレンドになった時、
 華潤集団VS青島ビール
 という競り合いは不可避でした。
 そうした中で、中国ビールの雄である青島ビールを率いてきた
 故・彭作義氏をして、かつて
 「華潤の怖さはその資金力にあらず、
 政府(対外貿易経済合作部)との
 特殊な関係にこそ、その真髄がある」
 と言わしめました。
 中国のビールといえば、青島ビールはあまりにも有名ですが、
 その実情といえば、
 中国国内におけるシェアは
 12%程度(第1位)に過ぎません。
 とてもじゃないですが、
 確固たる地位を築いている状態ではないのですが、
 それでも世界に名の知れた
 青島ビールを恐れさせるのに
 十分な実力と影響力が
 華潤集団にはあるといえます。
 華潤集団の多角的な投資は、当然一言で説明のつくものではないですが、
 あまりの複雑さに、説明しようと思えば思うほど
 混乱してしまいかねないともいえます。
 その実態について、ある人は、「貿易からスタートした華潤集団は
 海外にも強いコネがあり、
 その海外のコネを華潤集団という
 政府系グループを通じて、
 中国本土に導くことで、
 中国国内の産業構造の調整を
 加速させているのではないか」
 と指摘しています。
 つまり、中国政府は国内外に強いコネと影響力のあって、
 しかも自身の手の内にある
 華潤集団の産業投資を通じて、
 間接的に海外資本の導入を促進、
 自国の市場整備を進めている、
 ということです。
 これが本当なら、現在の中国において、
 以下の等式も成り立つかもしれません。
 『華潤集団=政府+国策=無敵』 |