第80回
招商局を押さえておけば中国のインフラが見える
H株の高速道路銘柄に
小さくない割合で
それぞれ出資している
華建交通経済開発中心。
その親会社にあたるのが招商局集団です。
よくよくみれば、中国の産業界で
あちらこちらに招商局集団の影響が見て取れます。
インフラなどは特に顕著です。
その招商局集団の実態について、
迫りたいと思います。
招商局集団は
実に130年以上の歴史を有する産業体です。
1872年にその前身が設立されています。
招商局集団の歴史は、
中国近代の産業史ともいえます。
例えば、
近代の企業体として、
初めて日本との通商海運航路を切り開いたのも
この招商局集団です(1873年)。
また、中国人が
初めて近代保険業を行ったのは1873年ですが、
それも招商局集団の前身による運営です。
そもそも、官営の産業体という意味では、
中国における国有企業の走りが
招商局集団ともいえます。
この130年間、中国では、
清王朝−中華民国−中華人民共和国
と国体が変わってきました。
当然のことながら、招商局集団も
それに翻弄されることになりました。
設立以後、急速に勢力を増大させた招商局集団は、
中華民国や中華人民共和国から重視されるのは
当然のことでした。
しかし中華民国と中華人民共和国の
招商局集団に対する重視の仕方は若干違っています。
招商局集団は、設立以後、
事業の主体としては
インフラ方面が強かったといえます。
そのため、中華民国政府では、
招商局集団を交通部(国土交通省)に組み込みます。
交通インフラはいつの時代も
国の最重要課題であり、
特に当時の中華民国政府は交通部に対して
莫大な権限を授けていました。
与えざるを得なかったともいえます。
現在も存在する、
中国の有力銀行である交通銀行の歴史は、
中華民国政府時代の交通部まで遡れます。
その交通部の傘下としての招商局集団が
いかに恩恵を受けたかは
想像に難くないでしょう。
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