| 第32回利益三桁成長の鉄鋼メーカー、その変貌とは?
 中国企業が変わってきたな、と感じたのは、
 有望と思われていた企業が
 その力を見せ付けるような、
 急成長振りを示し始めたことです。
 例えば、マクロ経済が7%の成長を果たしているのであれば、
 その経済のけん引すべき上場企業の成長率は、
 それを3倍や5倍上回っても
 おかしくないはずですが、
 一部の例外を除いて、
 中国企業において、
 今までそうした例はまれでした。
 しかし、現在は違います。絶好調産業といわれる
 鉄鋼を例にとってみましょう。
 H株の有力銘柄として馬鞍山鋼鉄(0323)という企業があります。
 中国でも大手の鉄鋼メーカーの一つです。
 それまでにもまず順調な成長を
 遂げてきてはいましたが、
 2002年本決算では最終利益で、
 実に前年比102.21%増を記録しています。
 これは、鉄鋼産業の好調に支えられているという側面ももちろんありますが、
 同期の売上高は同14.94%増に
 とどまっていることから考えて、
 かなりの企業努力が行われた、
 その結果、売上高に比して、
 利益が急増した、と理解できます。
 中国の鉄鋼業は諸々の要因で、2001年あたりまでに、
 厳しい状態にありました。
 また国民経済の主幹産業として、
 鉄鋼メーカーは国からの保護もあり、
 最も国有企業的体質を
 色濃く残しているともされてきました。
 そうした中で、2002年になって、馬鞍山鋼鉄に代表されるように、
 中国の鉄鋼メーカーが業績を復活させたり、
 急成長を実現したのは、
 自動車産業の好調やインフラ整備の加速、
 西部大開発などなど、
 プラスの要因に助けられた以外に、
 飽くなき企業努力が
 そこにあったのは間違いないでしょう。
 今後、その真価が問われるようになってきます。
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