第104回 生前贈与のための新相続税制−中級編
新制度を選択していた養子、その後養子縁組を解消したら?
養子に対して新制度を選択して
生前贈与を行っていたが
後に養子縁組を解消(離縁)した、という場合は、
新制度上どのように取扱われるのでしょうか?
相続時精算課税制度を適用する場合、
制度の適用時点(贈与時)から相続発生時まで
長期間に及ぶケースが想定されます。
したがって、新制度を選択している期間中に
養子縁組を解消することも十分考えられます。
養子縁組により養父母と養子は
法的に親子関係となり、
養子は養父母の推定相続人
(将来、相続人となれるはずの者)として
新制度の適用対象者になりますので、
養父母から養子へ新制度を利用して
生前贈与を行うことができます。
ところがその後に養子縁組を解消すると、
元養子は養父母の推定相続人でなくなってしまうわけですが、
一旦新制度を選択して
養父母から生前贈与を受けている場合には、
養子縁組解消後も新制度が引き続き適用されます。
即ち、新制度を適用していた養子に対し、
養子縁組を解消した後、
さらに元養父母から贈与があった場合には、
新制度に基づく贈与税申告を行うことになります。
そして、贈与者に相続が発生した場合には、
新制度により生前に贈与を受けた財産は通常どおり、
相続財産に持ち戻して相続税を計算します。
養子縁組を解消した元養子は
法定相続人ではありませんが、
「相続時精算課税適用者」として
相続税を精算することになります。
尚、この場合には、
養子(孫養子を除きます)として
贈与を受けた財産について
「相続税の2割加算制度(第103回参照)」が
適用されることはありません。
執筆:税理士法人山田&パートナーズ 税理士 山本武尊
監修:公認会計士 山田淳一郎
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