第74回 生前贈与のための新相続税制
父母は65歳未満。新制度が使える裏技
相続時精算課税制度は
贈与者が65歳以上の親で、
贈与を受ける子どもは20歳以上と規定されています。
ところが、子どもの自宅購入資金の贈与の特例は
贈与者の年齢が制限されていませんので、
65歳未満の親からの贈与であっても
自宅購入資金贈与非課税枠1,000万円とともに
自動的に2,500万円の非課税枠のある
新贈与制度を選択したことになり、
新制度の特例が適用されます。
このようにして新制度の特例を選択した場合には、
その後その65歳未満の親からの贈与については、
原則の贈与税制度(累進税率)の適用はなく、
一旦新制度(特例を含む)を選択した場合には
その贈与者が65歳未満であっても、
その贈与者が亡くなり相続が開始されるまで、
新制度が継続されることになっています。
たとえば、60歳の父が
30歳の子どもに自宅購入資金を贈与し、
新制度の特例を選択した場合には、
新制度の特例を選択した年以降
その父から受ける贈与は
新制度の対象になります。
そこで、自宅購入資金以外の財産を贈与するために
新制度を適用したいと希望するケースにあって、
贈与者である親が65歳未満であることから
新制度がストレートには選択できないケースにあっては、
次のような裏技により新制度を適用することができます。
65歳未満である父から自宅購入資金
(特例の適用要件を満たすもの)の贈与を受け、
新制度の特例を選択します。
この場合の自宅購入資金は1,000万円以下に抑えます。
その後その父から
自宅購入資金以外の財産の贈与を受けた場合には、
その贈与に対しては新制度が適用されます。
自宅購入資金を1,000万円以下に抑えていれば、
それ以外の財産の贈与を受けた場合には
一般の新制度と同様、
2,500万円まで贈与税をゼロとすることができます。
つまり、この方法によれば
贈与者が65歳未満であっても
新制度を適用することができるわけです。
執筆:(株)東京ファイナンシャルプランナーズ 税理士 五関幸子
監修:公認会計士 山田淳一郎
|