プロが教えます!公認会計士
山田淳一郎さんのトクする税金の話

第66回 生前贈与のための新相続税制
贈与財産を全部費消してしまっても、相続税の対象になる

子どもが親から新制度を利用して生前贈与を受け、
その後贈与者である親が亡くなった場合、
相続税の計算をするに際して
本来の相続財産にその贈与財産を加算します。

この場合、加算される贈与財産は贈与時の価格ですから、
たとえ贈与後にその財産を
費消してしまった(財産価値が減ってしまった)としても、
その価値の費消はなかったものとみなして
相続税が計算されてしまいます。

贈与後の財産の価値が費消される例を2つご紹介しましょう。

<例1:親から贈与を受けた現金で行った株式投資で失敗>

・子どもが父から新制度を利用して
 1,000万円の現金の贈与を受けました。

・子どもはその1,000万円でA社の株式に投資しましたが、
 しばらく後A社は倒産し株式は無価値になりました。

・その後、父が亡くなりました。

<例2:親から贈与を受けた建物が火事で焼失>

・子どもが父から新制度を利用して
 時価3,000万円のアパートの贈与を受けました。

・贈与後にアパートが火事になり全焼しました
 (火災保険の加入状況は考えないこととします)。

・その後、父が亡くなりました。

このように、父の相続時には
A株式やアパートは無価値になっているにもかかわらず、
贈与時の評価額
(現金は1,000万円、アパートは3,000万円)をもって
本来の相続財産に加算しなければなりません。

「株式投資の失敗やアパート火災でせっかくもらった財産が
無価値になってしまった」だけでなく、
「無価値となってしまった財産についても
相続税を支払わなければならない」
というダブルパンチとなる可能性もありますので、
贈与を受ける際にはこの点も
しっかり認識しておく必要があります。

執筆:(株)東京ファイナンシャルプランナーズ 税理士 鈴木 寛
監修:公認会計士 山田淳一郎


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