第63回 生前贈与のための新相続税制
「贈与額2,500万円を超えたら贈与税一律20%」
これ相続税の前払い
新制度を選択した場合には、
贈与価額2,500万円までは非課税で、
それを超えた部分には
一律20%で贈与税が課税されます。
現行の贈与制度は累進税率が採用されていますので、
受けた財産の価額が多ければ多いほど税率が高くなり、
最高で50%の税率となりますが、
新制度では受けた財産の価額がどれだけ多くなろうと
一律20%ですみます。
また、新制度を選択した場合に納税する20%の贈与税は
相続税の前払いという位置付けとされています。
つまり、将来相続が発生した場合には
新制度による生前贈与財産を
相続財産に加えて相続税の計算をし、
20%の税率で納税した贈与税は
この相続税額から差し引きます。
この場合に、納付すべき相続税額から
既に支払った贈与税を引き切れない場合、
つまり納付すべき相続税額より
過去に支払った贈与税の方が大きい場合には、
その引き切れない差額部分が還付されます。
納付すべき相続税額>既に支払った贈与税額…差額を納付 |
納付すべき相続税額<既に支払った贈与税額…差額が還付 |
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現行の贈与制度では
基礎控除額110万円を超える部分の贈与につき
累進税率で贈与税が課税され、
将来相続が発生しても
過去に受けた贈与財産を
相続財産に加算することはありませんが、
その代わり贈与の際に納税した贈与税は
相続税の計算時には何ら考慮されません
(但し、相続開始前3年以内の贈与財産については
相続財産に加算しなければならず、
その贈与について納税した贈与税は
贈与税額控除として相続税から控除されます)。
一方、新制度では
特別控除枠2,500万円を超える部分の贈与につき
一律20%で贈与税が課され、
将来相続が発生した場合には
過去に受けた贈与財産を贈与時の価額で持ち戻して
相続財産に加算します。
そして、新制度を選択して納税した贈与税額は
相続税において納付すべき相続税額から控除され
精算されるのです。
執筆:税理士法人 山田&パートナーズ税理士 山本武尊
監修:公認会計士 山田淳一郎
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