第46回 生前贈与のための新相続税制
生前贈与が受けられる ― 「新相続税制」を知る
皆さん、平成15年度の税制改正で、
新しい贈与税と相続税の仕組みができたのをご存知ですか?
個人の税金にスポットを当てますと、
今年の税制改正の中で大きなものは「証券税制」と
この「相続・贈与税」に関するものです。
「証券税制」の話は前回までに終了いたしましたので、
今回から「新相続税制」の話に移ります。
「新相続税制」は、簡単に言うと、
贈与税の負担を軽くして
生前贈与を行いやすくするための制度です。
新制度は、65歳以上の親が20歳以上の子供に
財産を贈与した場合に選択することができます。
贈与を受けた子は贈与税を支払う必要がありますが、
この制度を選択した場合には、
贈与価額2,500万円までは非課税(贈与税がかからない)ですし、
それを超えた部分にかかる税率は一律20%です。
ある程度まとまった金額の財産を贈与をする場合には、
この制度を選択しない場合と比べると
贈与税の負担がかなり軽減されます。
但し、その後に贈与者である親が亡くなり
相続税を計算する際には、
相続財産にこの制度の適用を受けて
贈与された財産を加算して相続税を計算し、
その相続税から既に支払った贈与税を
差し引いた税額を納付することになります。
その際、相続財産に加算する贈与財産の価額は、
贈与された時の価額です。
なお、贈与税を差し引いたら
マイナスになってしまったという場合には、
そのマイナス分は返してもらうことができます。
つまり、「新相続税制」は、
相続の時点で過去の贈与を持ち戻して
相続税の対象に取り込んで精算し、
相続と贈与を一体と考えて課税しようという制度です。
ですので、「相続時精算課税制度」という名が付きました。
この制度を使えば、
相続の時に最終的に精算する代わりに
贈与時点では税負担が軽減されますから
(実はこの贈与税は相続税の一部前払いとして
相続税において精算されます)、
生前贈与がやりやすくなります。
次回以降は、この「新相続税制」の詳しい内容、
新制度を選択した方が良いか、選択しない方が良いか?
気をつけるべき点は?
といったことをお話していきます。
執筆:税理士法人 山田&パートナーズ税理士 壽藤里絵
監修:公認会計士 山田淳一郎
|