プロが教えます!公認会計士
山田淳一郎さんのトクする税金の話

第42回
上場投資信託(ETF)・上場不動産投信(J-REIT)と税金

上場投資信託(ETF)と上場不動産投信(J−REIT)の
売却・配当に関する税金取り扱いは上場株式等と同じです
(ただし、J−REITは配当控除がない点だけが異なります)。

1.上場投資信託(ETF)とは
  平成13年7月13日、株価指数連動上場株式投資信託
  (ETF)が取引所に上場され取引がスタートしました。

  投信会社が証券会社や機関投資家等から株式の拠出を受け、
  株価指数に連動するように株式投資信託を組成し、
  上場させます。

  投資信託たる信託財産(純資産額)が、
  株価指数と同様に変動することを目的としており、
  一般投資家は、個別銘柄を買い揃えることなく少額で、
  株価指数に連動(完全連動ではないが)する商品に
  投資できることになります。
  また、個別銘柄の選択は難しい、
  といった声にも対応できるわけです。

2.上場不動産投信(J−REIT)とは
  平成13年9月10日、不動産を投資対象とする
  「会社型不動産投信」が取引所に上場され
  取引がスタートしました。

  会社型不動産投信(投資法人)が、
  投資家から集めた資金と借入金で賃貸不動産に投資し、
  投資法人はその賃貸収入からコストを差し引いた利益を、
  投資家に対して配当として分配します。

  不動産投資には、通常、大きな資金が必要ですが、
  不動産投信であれば、投資家は小口資金で
  実質的な不動産投資ができるわけです。

  ところで不動産投信は、
  不動産のポートフォリオ運用を行っています。
  つまり、地震等の天災リスクをヘッジするために
  「投資不動産の地域」を分散させ、
  大口テナントが退出した後の空室リスクや、
  個別不動産の思わぬ価値下落等をヘッジするために
  数多くの不動産に分散投資しています。
  これも、投資信託という仕組み、
  すなわち、多くの投資家から資金を集め、
  大きな資金にして、投資をする、
  という仕組みゆえに実現できることです。
 
3.ETF・J−REITの税金
  ETFもJ―REITも取引所に上場されていますので、
  その税金取り扱いは上場株式等と同じです。
  もちろん「特定口座」に入れることもできます。

  売却益に関しては、平成15〜19年は税率10%、
  平成20年以降は税率20%であり、
  売却損は申告すれば「3年間の繰越控除」の適用があります。

  配当に関しては、平成15年4月〜20年3月は
  源泉徴収10%(平成20年4月以降は源泉徴収税率20%)で
  課税を完了させることができますし、
  ETFは確定申告して配当控除の適用を受けることもできます。
  なお、JーREITは、配当控除の適用はありません
  (J−REITすなわち会社型不動産投信は、
  会社(投資法人)において行なう配当が利益処分ではなく
  損金として扱われる、
  つまり配当部分に法人税がかかっていませんので、
  法人税と所得税の2重課税が起きないためです)。

執筆:TFPコンサルティンググループ(株)税理士 布施麻記子
監修:公認会計士 山田淳一郎


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