第40回
妻が株式配当を受取った。さて、「配偶者控除」の適用は?
「妻が、親から相続した上場株式について配当を受取ると、
夫の税金上『配偶者控除』の適用を受けることができない、
という話を聞きました。
夫の税金上『配偶者控除』の適用の可否の判定金額に、
妻が受け取る配当は含まれるでしょうか?」
「配偶者控除」は配偶者(ここでは妻)の年間所得金額が
38万円以下の場合に、納税者(夫)の税金上適用があります。
そこで、妻が受け取る上場株式等配当(配当所得)が
「38万円以下基準」の金額判定に含まれるか否か、
つまり妻が受け取る上場株式等配当と
夫における「配偶者控除」適用可否の関係について説明します。
1.妻が上場株式等の配当金について確定申告しない場合には、
夫における「配偶者控除」の適用可否に影響はありません
平成15年4月以降に受ける上場株式等の配当については、
配当金の額の大小にかかわらず申告しないこともできる
(10%の源泉徴収税額で完了させる)ことになりましたが、
妻が受け取った上場株式等配当について
確定申告しない場合には、
その配当の金額は夫の配偶者控除の適用可否判断の金額には
含まれません。
つまり、妻が上場株式等の配当金を多額に受けた場合でも、
配当以外の所得が38万円以下であるならば、
そしてその配当金を確定申告しなければ
「配偶者控除」の適用があるわけです。
2.妻が上場株式等の配当金について確定申告すると
夫における「配偶者控除」の適用可否に影響があります
妻が確定申告した配当所得は
「配偶者控除」の適用可否の判定金額に含まれます。
すなわち、その配当所得とその他所得との合計額が
38万円以下の場合には
夫の税金上「配偶者控除」の適用がありますが、
38万円を上回った場合には「配偶者控除」の適用はありません。
3.妻が専業主婦であるケース:
33万円以下の配当は確定申告すると、
天引きされた税金が全額戻ります(平成15年4月以降)
妻が確定申告した配当所得33万円は
「配偶者控除」の適用可否の判断金額に含まれますが、
その他の所得がゼロであるならば、
その年の妻の所得は38万円以下であるため、
夫において「配偶者控除」の適用があります。
以上が「夫の税金」の取り扱いです。
では、確定申告した「妻の税金」の取り扱いは
どうなるでしょうか?
妻は配当所得33万円を確定申告しても、
所得税基礎控除38万円・
住民税基礎控除33万円の適用があるため、
税金対象金額はゼロになり
払うべき所得税・住民税は生じません。
つまり配当受け取り時に源泉徴収された
所得税・住民税が全額還付されます。
ところでこれに対して、専業主婦である妻が
上場株式等配当について確定申告しない場合には、
もちろん夫の税金上「配偶者控除」の適用は受けられます。
ではありますが配当金額が33万円以下で
その他に所得がないケースでしたら妻が確定申告を行っても、
夫の所得税において「配偶者控除」は受けられますので、
妻において源泉徴収されている100%の税金を
還付してもらう為に確定申告すべきです。
執筆:TFPコンサルティンググループ(株)税理士 布施麻記子
監修:公認会計士 山田淳一郎
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