プロが教えます!公認会計士
山田淳一郎さんのトクする税金の話

第13回
「売却損と益の取扱い」…これだけは理解して!

個人投資家の「上場株式等の売却損益」は、
所得税・住民税の対象になり、
税金計算の仕方の特徴から
「申告分離課税」と呼んでいる方法により申告し
納税しなければなりません。
「申告」、すなわち売却利益が出たら確定申告が必要です。

「分離課税」、すなわち「給与」等とは別に、
「株式売却利益」単独で税金を計算します。
高額所得者も、そうでない方も、
上場株式売却利益が例えば100万円だった場合に
かかる税額は同じになる制度になっています。

1.上場株式等の売却利益
上場株式等の売却利益に乗じる税率は、
平成15年から平成19年の5年間の売却利益に対しては
「10%(所得税7%・住民税3%)」、
平成20年以降の売却利益には
「20%(所得税15%・住民税5%)」です。

平成15年度税制改正で「貯蓄から投資へ」という
上場株式等投資インセンティブ税制が創設され、
当初5年間は預金利子にかかる税金(20%)の半分
すなわち10%にしよう、となりました。

2.上場株式等の売却損
株式の売却損は、同じ年の株式売却利益と相殺できます。
株式売却損が200万円、株式売却利益が250万円の年は、
相殺後の株式売却利益50万円に税金がかかります。

では、株式売却損200万円、株式売却利益100万円、
損の方が大きい年はどうなるでしょうか?
赤字と黒字を相殺すると、
株式売却損が100万円残ってしまいます。

平成15年1月1日以降の売却で生じた
「上場株式等の売却損」については、
同じ年の株式売却利益と相殺しきれずに残った損は、
翌年以降3年間繰り越し、
翌年以降の株式売却利益と相殺ができるようになりました
(ただし、確定申告が必要です)。

平成14年以前は、株式の売却損のうち
利益と相殺し切れなかった額の翌年への「繰越し」は
認められていなかった、
つまり、相殺後の損失は切り捨てられていたのが、
平成15年改正により3年間繰り越せることに変わり、
売却年を含め4年間の株式売却利益との相殺ができる、
つまり、リカバリーショットのチャンスが増えたわけです。

執筆:TFPコンサルティンググループ(株)税理士 布施麻記子
監修:公認会計士 山田淳一郎


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