ただ通貨が地金を離れ、それぞれの国の信用を背景として通用するものである限り、通貨の価値はそれぞれの発行国の経済力を反映することは間違いない。したがってアメリカの経済力に影がさせば、ドルの対外価値が低下することは避けられないし、反対に日本の経済力が広く世界から認められるようになれば、円の対外信用は一段と強化される。通貨がそれぞれの国の経済力を反映しているのに、相互間の貿易のアンバランスを調節する機能を果たさないとすれば、多国籍にまたがって商売をやっている企業は自衛上、それぞれ相手のブロツク内に生産機構を移し、ブロック内自給自足体制になっても生き残れる体制をとらざるを得なくなる。今のところ、そうした体制を他に率先して展開できる立場にあるのは貿易黒字国であり、なかでも日本がそのトップに立っている。
為替がうまく機能しないために、資本が移動し、各消費国に生産拠点がつくられるようになったが、その結果がブロックないし各国内での生産を促し、それがそれぞれの地域の所得水準の引き上げに貢献し、相互間の貿易アンバランスを是正する役割を果たすとすれば、日本が金持ちになっていく過程をもう一度、他の国々で再現することになる。したがって日本人が国内で金儲けをしたチャンスが次に工業化のすすむ地域で繰り返されることはほぼ間違いない。反日感情が強まりそうでそうならないですんでいるのは、進出した日本企業がそれぞれの国に、かつて考えらなかったような新しい富をもたらしているからとみることができる。

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