日本人は金持ちへの道を歩み始めたし、現に年々、付加価値の創造によって新しい富を生み出している。アメリカとのあいだにもはっきりと差をつけている。世界中の人々がそのことに気づいたので、かつてアメリカに世界中のお金が集まったように、これから日本に世界中のお金が集まってくる。東京が国際金融の中心地になることも、ほとんど既定の事実と考えてよいだろう。しかし、世界経済の中心地になったところに、お金儲けのチャンスがゴロゴロころがっているだろうか。かつてのアメリカに「アメリカン・ドリーム」を実現するチャンスがいくらでもあっただろうか。
アダム・スミスの『国富論』に描かれたころのアメリカはまだ新興の植民地であった。経済の発展する段階にあった。そういう時代のアメリカには力ーネギーや、ロックフェラーになるチャンスはいくらでもあった。しかし、成熟化しきったアメリカでは、お金をころがして他人の企業を乗っとってハダカにするような金儲けばかりが目立つようになってきた。今後、アメリカの衰亡がさらに進み、乱気流に突っ込めば、再び、チャンスがふえるだろうが、成熟社会では、成熟社会のなかで稼ぐよりも、成熟社会に狙いを定めて成長する国々のほうにチャンスが多いといってよいだろう。
もしこの見方が正しいとすれば、一旦、日本に集まったお金は、新しい付加価値を創造するチャンスの多い地域へまた出て行く。ちょうど一時期、アメリカの企業が世界に食指をのばしたように、日本企業の海外進出とともに、日本の資本も全世界から集めてきたお金を再びチャンスの多い地域に持ち出して投資することになる。日本の銀行と証券会社がこの役割を果たすことはほとんど間違いない。ついでに申せば、日本にお金の集まった分だけ日本人の国際的地位はあがっていくことにもなる。
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