中国民俗研究家・上田尾一憲が語る、中国民俗の魅力

第18回
走婚

前回もご説明したように、
モソ人の住居には
その家の娘が成人すると移る部屋があります。
日本では子供部屋があって
成人する前から、子供に部屋を与えるのは
ごく一般的な事ですけども、
モソ人の女性は成人するまで母屋で
みんなと一緒に生活をし、成人して初めて
自分の部屋が与えられるのです。
その理由は、この辺りに住むモソ人達の
「走婚」と呼ばれる婚姻習慣と
大きく関係があります。

走婚と呼ばれる婚姻習慣は非常に珍しく、
その変わった習慣が存在する地を一度看てみたいと、
今では観光客もたくさん訪れるようになったくらいです。
果たしてその走婚とは一体どのような習慣なのでしょうか。
「走婚」とは、そのモソ人の住むルグ湖辺りの村では
友達の紹介や何かで知り合った年頃の男女が
お互いに相手の事を気に入り
男女の関係になりたいなぁと感じると、
男性はある行動に移ります。

皆が寝静まった頃・・・
月明かりを頼りに、
その大好きな女性の住んでいる家へと出かけ、
誰にも気付かれないようにその女性の部屋まで
ソロリソロリと近づき、
時には壁をよじ登って女性の部屋へと忍び入るのです。
女性も「いらっしゃいませ」という感じで待っており、
その後、2人の世界へと入っていくのです。
それから間もなく、十分に愛を語り合い、
夜が白み始めると男性はまたコッソリと
自分の家へと帰って行きます。

そして朝になると2人とも
なに事もなかったかのように
普通に仕事をし、また夜になると
男は女の家へと出かけて愛を語り合うのです。
このような感じで毎晩通って結ばれる
婚姻関係を走婚と呼んでいるのです。


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