中国民俗研究家・上田尾一憲が語る、中国民俗の魅力

第16回
略奪結婚!!

中国にはまだまだ沢山面白い習慣がございます。
その中でもかなりユニークなのが
ある一定の苗族の間で
現在でも習慣となっている略奪結婚です。

その略奪結婚とは、
「あ〜あの子とどうしても結婚がしたいっ!!」と
ずっと思いを寄せている男性がいるとします。
そこで、その男性は昔からの悪友を4、5人呼び集めて
「おまえ達!あの子をさらって来い!!」と命令するのです。
そして彼らはその命令通り女の子の家の門で待構え、
女の子が出てくると、
無理やりさらって男性の家まで連れてくるのです。
その間に男性は家に紙で作った傘と
生きた雄鶏を用意しておきます。

悪友達が無事に女の子を
男性の家まで連れてくると、
男性は
用意してあった紙で作った傘を
女の子に差してあげます。
そして、悪友の誰かが
生きた雄鶏を持って傘の上を3周回らせるのです。
ここまで来たらもうこっちのものです。
紙で作った傘の上を雄鶏が3周回った事により
女の子の魂は男性の所へ移ったことになってしまうのです。

その後、男性の家から女の子の家に
「お宅の子を嫁にもらいます!」
と伝える使者を出します。
女の子の両親は、
もうたまったもんじゃありません。
しかし、その使者といくら言い合いをしても
傘の儀式を終えたあとではどうしようもないので
結局はあきらめて結婚を許します。
その後、女の子は一旦お家に帰り
結婚式の準備となります。

これがなんともユニークな略奪結婚です。
といってもこれは昔のお話で
現在では形式上のものであって
本当に奪って
無理やりお嫁さんにするのではありませんので
ご安心ください。


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