中国民俗研究家・上田尾一憲が語る、中国民俗の魅力

第4回
永漢民藝館

「種字林」には並々ならぬ思いの
ある邱先生ですが、
なぜ、邱先生は中国の古い家具や民芸品を
集めるようになったのでしょう。
以前から中国では
古い家がドンドンこわされて高層マンションに変わっています。
明清から中華民国時代の
古い生活用品はそのうちにすっかり姿を消してしまいます。
(現時点でもう大分消えてしまいました。)
それを惜しんで邱先生がコレクションを始めたのです。

一昔前の台湾も同じで、
ビルやマンションを建てるために
古い民家は片っ端から壊されており
そこで使われていた家具や台所用品等が
古道具屋にガラクタ同然の値段で
買い取られていました。
先生は骨董屋や古道具屋に
詰まれているたくさんの民芸品を見て
もっているだけのお金はたいて
約6000点も買い集めました。
その後先生はこれらの民芸品は
台湾の民俗文化を研究するための貴重な資料であるから、
私有していても仕方がないと思い、
台南市政府に寄付をいたしました。
その後、民芸品を研究、展示するために
台南市の安平城跡のすぐ近くのオランダ屋敷を改造し
「永漢民藝館」が建てられました。

その時に一つ面白いエピソードがあります。
先生はそれらの民芸品を寄付する前に
奥さんに「好きな物があったらいくらでも持っていっていいよ」と
仰り、奥さんは数ある民芸品の中から3つだけ選びました。
そして永漢民藝館のオープニングセレモニーには
先生も奥さんも招待され、民芸館を見学している時に
奥さんは「あ〜あれも欲しかった!あっこれも素敵!」と
後になって思ったのですが、もう寄付した後では
返してくれともとも言えず残念な思いをしたそうです。


上の写真が台南市の安平城跡にあるオランダ屋敷を使って
つくられた「永漢民藝館」です。

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