第723回
脳がさびているのを知らない
胃子「今まで仕事が順調で何をしてもうまくいってた人が、
うまく行かなくなるというのは、なにが原因なのでしょうか。
そのあたりを木先生はどう考えるのでしょうか。
ツキが落ちた、運が逃げたというと簡単ですが、
それだけなのでしょうか。」
木先生「脳を調べていると、運とかツキというのは
たなぼたみたいに感じる人が多いと思うのですが、
そうではないような気がしてくるのです。
戦争で奇跡的といってもいいような助かり方をした人の
脳を調べたり、百歳まで長生きをしている人の脳を調べたり、
世界の大富豪の脳を調べたりと様々の生き方をしている人を
調べると、みな特徴があります。
大脳皮質も重要ですが、生き延びるのにはそれよりも
もっと大切な所があるようなのです。
地震が来て津波が来た時に動物たちの多くは事前に
察知して逃げる、そのような動物的感覚というか、
そういうものが視床とか淡蒼球とか
黒質とかにあるようなのです。」
胃子「そういうものの働きが悪くなっているというのは、
気がつくものなのですか?」
木先生「次第次第に働きが悪くなった時はなかなかそれに
気付かないことが多いと思います。
自分で判断して、その結果が悪いと運がなかったとか、
ツキがなかったと考えることが多いと思うのです。
自分の脳の働きが悪くなり、脳のアンテナ機能が
低下していることに気付く人はほとんどいないと思うのです。
それで結果が悪くでると他の人のせいにするし、
うまく行けば自分のせいにしたりするのです。
悪く出始めると脳は錆びついていますので、
そうめったにうまくいくことはないのが実情だと思うのです。
ところが、自分の脳の働きが悪くなっていて勘が鈍っている
というのを自覚しない人がいるのです。
こういう人は結構いて周りからおかしいよと言われても、
いや俺は大丈夫、むしろお前の方がおかしいのでないか、
というのです。
過去に大きな実績をあげた人だとよけいに、そう思うようで、
錆びた脳を自覚する人はあまりいないようです。」
胃子「錆びた脳の人を治すというのは、できるのですか。」
木先生「できます。
元がいい人ほど治しやすいのです。
でも、それも錆びついてからの年数にもよります。
最近相談を受けた人では、仕事のことをあらん限り考えて、
これで大丈夫だといって、手を打ったことが
全部だめだったというのです。
脳をマッピングしてみると、ほとんど錆びついていたのです。
これではうまくいくはずがありません。」
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