医師・豊岡憲治さんの嘘のようなホントウの話

第538回
宮葉

食べ物に言葉はいらない。
説明もいらない。
味わってみるとすべてわかる。
味わう方の感覚の程度、脳の感度の差により、
味わいに差がでてしまうのは無理もないことです。

消える芸術品とは、ここの寿司のことだと思います。
どんなにすばらしく握っても、一瞬にして消えてしまうのです。
絵や書、建築物などと違い決して残ることはないのです。
残るのは、味わった人の舌に残る、
眼に残る、心に残るのみです。
感動が残るのです。
そして自分の仕事の未熟さを知らされる寿司なのです。
こんなにうまくすっきりとさあ〜っと、
決して構えずに治せていないなと思う瞬間、
寿司を食べるとそう思ってしまうのです。
この絶妙な味わいと同じように人を治せたら
どんなにすばらしいか、と思う時間があるのです。

そして親方を見ていると、
仏様の光背のようなものが見えるのです。
そして目をみているだけでお酒が飲めるという
不思議な人なのです。
脳を見ただけで、その中に万巻の書が蓄積されている、
様々な物や事に興味があり、
なんでも知りたい、知らずにすませられないという
脳の持ち主なのです。
匂いをかぐ鼻、物を見る目、音を聴く耳、舌の感覚、
表情の豊かさ、それにつながる脳が
一流と言われる寿司職人の親方の中で抜群なのです。
一流と言われる親方の6倍ぐらいも能力があるのです。
食べると、にこにこしてしまう、
ふうっと笑顔が自然に湧き出るような寿司なのです。

また、刺し身や寿司に合う冷酒が
またなんとも言えずおいしいのです。
生きるのに自信がなくなったら、ここの寿司を食べると、
自信が湧いてくるような気がするのです。
やさしい、ほんわかとした味の寿司なのです。
味わいが口の中です〜っとどこまでも広がっていく。
心が無限大に広がるように、
味にもこのように無限の広さがあるということが
感じられる寿司なのです。
そして自然にそれがでているというのも不思議です。
こんなに美味しいものがあるなら、
もうちょっと生きてみようかなと思わせる寿司なのです。
そうあれこれ考えなくても食べるだけで元気がでるのです。

味わう人の脳の感度の差により、
様々な思いが湧いてくると思います。
寿司ネタを見て、
宮葉の寿司ネタは全然違うという事が見えない人も
いると思います。
世の中こんなにすごい人もいるのです。

生活情報センター発行 東京ガス(株)都市生活研究所篇
「最高の江戸前寿司を召し上がれ」
この本に宮葉さんのことが詳しく書かれていますよ!


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2007年7月13日(金)

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