| 第980回京都でもCPがよいカウンター割烹、つか本
 昨年久々に京都で、1万円和食のお値打ちを発見しました。最近は廉価な飲食店に様変わりしている先斗町の狭い路地を
 四条通りから上がって「よーじや」を左折、
 右手の古い小さな建屋の2階にその
 「そっ啄 つかもと」はあります。
 こんな所に和食屋があるのだろうかと
 思わず階段を上るのを躊躇してしまうほど、
 その外観はよくありません。
 しかし扉を開ければ、
 厨房奥は多少雑然としていますが小奇麗にまとめてある、
 5席のカウンターに小さなテーブルが1卓の
 主人一人の小さな割烹料理屋。
 30代前半と思える主人は、電話応対から想像したとおり腰が低く、
 物腰柔らかでありました。
 雑誌でポツポツ宣伝されており今は予約も難しいようですが、私が訪れた時はいずれも満席ではありませんでした。
 恐らくテーブルは荷物置きにしか使用していないでしょう。
 実質キャパ5名の店ですから、
 知られてしまうと予約が困難になりますが、
 銀座の「うち山」、「馳走そっ啄」、「あさみ」が
 おいしい和食と勘違いして客が殺到している現在、
 友里は敢えてこの店を取り上げます。
 7千円と1万円のコース2種のみ。最初の訪問時、和食の華である「お椀」を食してすぐ
 まともな店だと判断しました。
 椀タネの真丈もさることながら、出汁がおいしい。
 有名高額店に劣らない技量と質に感じたのです。
 造りでは毎回でる鮪は不満ですが、
 鯛など白身はこの価格から考えれば充分なものです。
 地の利の悪い鮪などに執着せず、
 その地で最も良いものだけを出してもらいたいものです。
 八寸に出てくる鯖寿司は浅い〆ですがなかなか。
 炊き合わせもやや味濃いですが納得です。
 〆が蕎麦なのもこの店の特徴でしょうか。
 主人が打ったと聞きましたが、
 個人的には季節物の炊き込みご飯などを用意してもらいたい。
 でも、この価格で
 クオリティを落とさず提供するのは無理でしょうか。
 結構日本酒を飲んでも一人1万5千円には届きません。
 <結論>同じように「そっ啄」を名乗っていますが、銀座の店とは雲泥の差。
 7千円のコースは使用食材の違いや八寸の有無と差は歴然ですが、
 これでも満足するでしょう。
 人気が出ると「てら川」のようにCPが落ちる店がよくありますが、
 このまま頑張ってもらいたいものです。
 銀座の1万円和食の人気店の店主も、
 新幹線使って勉強に行ってもらいたいものです。
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