第961回
ワインの諸々 100
このワイン企画は意味がないのではないか
「男もアンチエイジング。」
という大きな特集文字にひかれて購入してしまった
「GQ 5月号」。
その雑誌になんとワイン特集があったのは
友里としてはラッキーでした。
GQワイン委員会なるものをつくり、
ボルドーグランクリュの格付けを飲み比べて料理との相性をみ、
2002年のシャトーを飲み比べて、
最後は委員会が選んだ「ベスト32」を推奨しております。
このGQ委員会、ワインショップ店主、
ソムリエ(オザミの丸山氏)、
シェフ(クリスタリーヌの田中氏)のほか、
若い女性代表の方に加えてフードジャーナリストとありましたが、
飲食店、シェフヨイショライターの呼称の方が納まりのいい
大谷浩己氏の姿も。
ボルドーに数年滞在されていた割に、
それほどの見識を感じない大谷さんに、
雑誌にでる飲食店は1割も当たりがないと
雑誌不信の発言をしながらの雑誌登板の田中シェフ。
集客に苦しく自店宣伝のための方針転換なのでしょうか。
私が意味ないと感じたのは、
料理との相性を考えるために飲んだワインの品揃えです。
ヴィンテージがまったく揃っておりません。
90年のポンテカネもあれば、95年のランシュバージュ、
果ては2001年のラスコンブまでありました。
ヴィンテージが1年違うだけでもその差を気にする人が多い中、
生産年が10年違ったらまったく別物になると考えます。
また、ベスト32のナンバー1に輝いたのは、
ルロワのドメーヌ物の「クロ ド ラ ロッシュ」。
他のワインには、
ラングドックのワインやボルドーの格付け違いのワインなど
価格、格とてんでバラバラ。
第一位のこのルロワは、
リリース価格でも5万円は下らないのではないか。
反面、2000年代の2級や3級のボルドーワインは
1万円以下で購入可能。
つまりピンからきりまで、各委員が勝手に
知っている好きなワインを選んだだけのことなのです。
これならば、ベストのスシ屋を選ぶのに、
次郎、きよ田の4万円弱レベルから、
回転すしとはいわないまでも、
「美登利寿司」などのレベルの店までが
32位以内に紛れ込んでいることなります。
高額スシ、街場スシ、回転スシとカテゴリーを分けなければ
美味しさの優劣をつけることはできません。
まったく別物なのですから。
ワインもドメーヌルロワの特級畑と
シャトープジョーを同等に比べることはできないはず。
委員たちがたまたま飲まなかった、知らなかっただけであろう、
たとえば、ドメーヌルロワの
「ロマネ サンヴィヴァン」、「ミジュニー」、「ボーモン」
など特級、1級を飲んでいたら、
32本全部高額ワインが占めることになりかねません。
知識や経験がまったくバラバラな選定委員が、
各自お勧めを数本持ち寄ったワインを32本集めて
何が「ベスト32」なのか。
しかも各ワイン、インポーターは明記していますが、
価格はまったく示しておりません。
読者がルロワを高島屋に買いに行って
5万、6万と言われてびっくりするようなこの企画、
編集側のワイン認識の問題もかなりあるのではないでしょうか。
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