自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第959回
観光客専門に特化したら、久兵衛 銀座本店 2

5年は続けているでしょう、
「創業記念」と称する昼時の2千円引きセールは未だに健在です。
当初は西暦2000年記念と称してはじめたと記憶している
この値引き販促システム。
1年で終わると思ったのですが、
21世紀になっても終了する気配は見えず、
いつのまにか「創業記念」とか
当初と違ったお題目で値引きを続けているようです。
しかし、店前の品書きで、
わざわざ元値を線で消して値引き価格を示す方針は
いかにも安っぽい。
観光客主体とはいえ、
接待で客を連れてきたいと思っている人には
あまりにプアなイメージを与えてしまってマイナスです。

昼でも4200円のチラシや「お決まり」から、
お任せの8400円、
そしてツマミをいれたコースが1万500円から22050円までと
選択肢は無茶苦茶多い。
夜は、「お決まり」はなくお任せからのバージョンで
値引きを戻して2千円アップします。
価格設定は、提携店である田崎真珠の団体客と同じく、
ネームバリューに引かれた銀座への買い物客や観光客などを主体に、
あらゆる客層に対応しているようで、
銀座の他の高額鮨屋とはちがって懐はかなり深い。

職人は軽いジョークを飛ばすなど女性客、
特にオバサンに喜ばれそうで、職人と言うよりサービスマン。
もちろん、握りの技量もサービスマンに近いものと見受けました。
使用食材は悪くないですが傑出したものではなく、
仕事も握りも普通レベルです。
煮切りやツメは塗ってきますが、拘りのあるものではありません。
砂糖を使用していないようですが、酢飯は酢がかなり緩い。
車海老は茹でずに生なところも、
巷の新鮮ネタ志向の寿司屋と同じか。
主人は5階で常連に対応しているようですが、
この店だけでも職人が何十人もいて、
タネは担当する客数分だけ先に切り置いて、
食べ具合に合わせて順次握ってくるなど大型店のシステムです。
すべての客に高レベルの寿司を均一に提供できる店ではありません。

<結論>
ツマミと握りでお酒を飲んで2万円超。
「寿司屋」であって「鮨屋」でない。
拘りのある人は、近くの「小笹寿し」、「水谷」、「かねさか」
などに行ってください。


←前回記事へ

2006年4月21日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ