第957回
早食い競争に来たんじゃないぞ、一よし 2
この店はなぜこれほど早く客を追い出したがるのでしょうか。
我々は同伴客ではないのは男同士だからわかるはずです。
いくら多皿とはいえ、
食べ終わらないのに勝手に次の皿をどんどん出してくるのは
あまりにひどい。
酒飲みながらですが、停滞なく食べているのにこの仕打ち。
「次郎」と同じではないか。
もう少しペースを落としてくれと頼んでも、
ペースはさほど変わりませんでした。
肝心の料理も疑問の連続です。
焼茄子胡麻和え、銀杏、烏賊ウニ、鮪山かけと
居酒屋のような料理が続きます。
勿論なんら傑出したものではなく普通レベルのお味。
和食の華であるお椀はでず、梅と山葵のスープがその代替でした。
手抜きとしかいいようがありません。
当時は秋でしたが、
炭でなくガスで焼くマツタケに期待出きるはずがなく、
かなりの料理に「餡かけ」や「一味」を多用するのも疑問です。
べちゃべちゃの鯛の薄造りや
揚げた小鮎の甘酢餡かけにも一味がかけられています。
焼鱧にも甘いタレをかけるなど
食材の質をごまかすためか変に加工しすぎです。
そして全体に甘すぎる味付けは、使用調味料に疑問が残ります。
かなりの料理が下ごしらえというより造り置きされ、
鱧も先に骨切りしてあるなど、
カウンター割烹のパフォーマンスをまったく楽しめず、
入店から1時間チョイで最悪の環境から脱出することになりました。
<結論>
椀子蕎麦か早食い競争の店に入ったかと思うほどの早出しは、
「次郎」を上回るペースかもしれません。
いくら常連客の主体が同伴カップルだからといって、
普通客にまで同じような接客でいいと思っているのか。
一人当たり2万5千円前後ですが、
凛とした京料理屋を期待すると落胆はあまりに大き過ぎます。
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