| 第919回ワインの諸々 94
 値付けが高すぎるインポーター
 先日個人的なお礼ということで、シャンパーニュをいただきました。一応ワインは得意ですから、
 小さなドメーヌシャンパーニュは別にして、
 お使い物にするような
 高額シャンパーニュの知識は持っているつもりでした。
 しかし、そのシャンパーニュ名はまったく聞いた事がないもの。
 メーカーも知りませんでしたが、
 驚いたのはクラシックというか、コルクの抜け止めが、
 ワイヤーではなく紐なのです。
 そして、立派な化粧箱には、
 その紐を切る小さなハサミまで入っておりました。
 インポーターも聞いた事がなかったのですが、早速HPを照会。いただいたシャンパーニュは
 定価でなんと6万円という高価なものである事をしりました。
 シャンパーニュでこのような高額物は古酒でない限り、
 クリュッグのコレクションや
 クロ デ メニル、モエのレゼルヴ ド ラ ベイ、
 ボランジェのVVくらいでしょうか。
 こんな高価なものならそうは簡単に開けられないと
 一応確認の意味で、私は知合いのインポーター関係者に
 現状価格を調べてもらったのです。
 出回っているシャンパーニュではないようで、その方も苦労してフランスの知人に照会したらしく、
 2週間ほどしてようやく価格がわかりました。
 大手のインポーターではなさそうなので敢えて実名は書きませんが、
 そのシャンパーニュの蔵出し価格は、箱とハサミが込みで、
 邦貨に換算して8〜9千円でした。
 なんでこれが定価とはいえ6万円になるのか。
 ワイン業界では、定価の6掛けが
 ワインショップなどプロの仕入価格と言われていますから、
 インポーターは3万6千円で売っているのでしょうか。
 かなりの粗利ではないですか。
 因みに、調べていただいたインポーターが価格を設定するならば、蔵出し価格に輸送費など経費を加えた輸入原価は1万2千円と設定。
 卸価格は1万7千円前後にして、
 販売店にしっかり儲けてもらって
 売値は2万8千円前後に設定するとのことでした。
 確約する仕入本数など細かい条件がわかりませんから一概に比較できませんが、それにしてもあまりに高い値付け。
 知られていない、相場がないシャンパーニュだといっても、
 やりすぎです。
 しかしこの実例は、まったく特異な例であると私は信じたい。
 ワイン業界全体が不信感に囚われる可能性がありますから、
 インポーターの値付けは非常に重要なことだと考えます。
 |