自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第891回
ワインの諸々 90
再び問う、なぜ寿司や和食に無理に合わせるのか

私は鮨屋(実際はジャンルに関係ない和食系)に入って
がっかりする事がいくつかあります。
まずは喫煙客の存在です。
香水をつけた女性と同じく、紫煙は歓迎できるものではありません。
そしてもう一つは、ワイングラスを振っている客が多い場合です。
率先してワインを販売している店でみられることですが、
鮨屋の主人の考え方というか
営業方針に疑問を持ってしまうからです。
本当に、鮨タネや酢飯とワインが合うと思っているのか。
本気で思っているなら、この店の鮨に期待できるはずがない。
また、思っていないのにすすめているとしたら、
それは自己利益だけを考えた、いわゆる「性格の悪い」主人で、
これまた鮨に期待はできないと言うものです。

白ワインならいい。いや日本ワインの「甲州」なら鮨でも大丈夫だ。
いや、赤身やヅケは、赤ワインでも合う、
といった話も漏れ聞きますが、本当でしょうか。
〆物、貝類、酢飯に私はワインが合うとはどうしても思えません。
確かに甲州などは、他のワインと違って
それほど違和感を覚えることはないかもしれませんが、
ベストマッチではない。
相性の良い日本酒を除外してまで飲む価値は
まったくないと思います。
ではなぜワインをすすめるのか。
これは店としては日本酒よりワインを飲ませた方が、
売上が上がるからです。
例えばワイン1本に1万円つけても
そう抵抗なく頼む客が多いと思いますが、
日本酒4合瓶に1万円付けたら引いてしまう客がいるでしょう。
よって、日本酒の場合は、
単価の低い物を用意しなければならないわけです。
客側としても、ワインを飲んでいるとちょっとスノビッシュだと
自己満足してしまう心境もあるのかもしれません。

でも、フレンチで
日本酒を無理に合わせて飲むフランス人が少ないように、
餅は餅屋という言葉もあります。
(ちょっと意味が違いますが、雰囲気を感じ取ってください)
フォアグラ料理に、
ヒネ香の付いた日本酒の古酒はいくらか合うかもしれませんが、
私はイケムをはじめソーテルヌワインで合わせたい。

無理して鮨屋でワインを飲む必要はないのです。
日本酒が飲めないからとのエクスキューズもあるでしょうが、
同じ醸造ワイン、飲まず嫌いではないでしょうか。
私は詳しくありませんが、おいしい日本酒は沢山あると思います。


←前回記事へ

2006年2月12日(日)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ