第853回
純粋な読者限定本、東京ハッピー・レストラン 2
結局クローバーの葉っぱの枚数は意味ないじゃん
新刊でも相変わらず強調しているのが
女性のためのレストラン選びの新基準と称する
「犬養式チェックシート」。
細々と44あげた項目のチェック数で、
4つ葉から1つ葉までの4段階表示を各店ごとにしております。
しかし私には首を捻る項目がかなり目に付きました。
グラスワインの最低料金が700円以下だとか
ワインボトルが4千円以下であるとかに拘っているのは、
まさに「純粋な読者」だけを頼りにしている証拠といえるでしょう。
味もなにも関係なく、ただ安ければいい、
という発想に犬養さんの考えの浅さが見えてしまいます。
要は店の値付け方針を読み取ればいいわけで、
たとえば、千円以下の
バルクごと輸入し日本でブレンドしているようなワインを、
4千円で売っていてもいいのだろうか。
おいしいワインだが、
市場価格が8千円でそれを1万円で出している店は評価しないのか。
ワインの知識がなく勉強もしていないので、
絶対価格にしか注目できないので仕方ないかもしれませんが、
彼女の限界がそこに見えてしまいます。
また、ポーションがちょうどいい、とはどんな判定をするのか。
TVを見る限り、彼女はかなりの大食漢に見受けられ、
巷の女性の腹具合とはかけ離れていると思うのですけど。
デート用のポイントと
接待用のポイントを併設しているのもおかしい。
相反するものですから、矛盾しています。
しかし、一番おかしい、論理的でないことは、
「東京最高のレストラン」にも採用されている、
評価人の個人的思い入れによる「ボーナスポイント」です。
この本でも、犬養さんの持ち点として5点の範囲で、
各店に勝手にプラスしているようです。
44項目しかチェックがないのに、
犬養さんにヨイショして覚えめでたい店は
5点もアドヴァンテージを与えてしまうのですから、
まったく公平性があるとは思えません。
しかも、葉っぱの数が少ないから悪いというものではないのが、
この本のランク付けの変なところです。
客層が幅広い、多少にぎやかにしても気にならない、
おしぼりがでる、カウンターがある、個室がある、
プチフールを出す、など
あまり料理やサービスというか、
外食好きな一般客や食通に関係ないようなチェック項目を
無理に設定しているからでしょうか、
葉っぱが2枚や3枚のランクが下の店でも、
彼女は本分でべた褒めしています。
せっかく、
ない頭を捻って無理して考え出したチェック項目からの判定も、
本文の店評価にまったく反映されていない矛盾。
葉っぱは2つでも3つでも4つでも関係ない。
要は自分が気に入った店、
擦り寄ってくる店を宣伝したいだけの本だということが、
このことからわかると思います。
出版されて1週間の出来立てホヤホヤですが、
アマゾンではランク1万位越え。
まったく食通や外食好きな方には向いていない
「純粋な読者限定本」。
前著同様、増刷は難しいと思うのは、私だけではないでしょう。
|