| 第845回軽井沢へ移転して生き延びた、タムラ 2
 軽井沢野菜をふんだんに使用したヘルシーフレンチだと思っていたのですが、
 それほど野菜が多くありません。
 ネットで絶賛の桃のスープは、
 丸ごと氷結させてくり貫いた桃に入っていて、
 ミーハーで「純粋な読者」には受けるパフォーマンスですが、
 肝心のスープ自体は、
 クリームが強く桃自体のコクを感じませんでした。
 ウニのコンソメゼリーも凡庸でした。
 今時どこでも出てくる料理でありますから、
 せめて特徴というか旨みを感じさせて欲しかった。
 唯一、季節を感じる鮎のフリットは、パートフィローを巻いて揚げたものでアイデアは面白く、
 なんとか納得した一品でありました。
 しかしその後の鱧は質に疑問。無理して季節物を用意するよりも、
 未だ安くても良質なものを調理してもらいたかった。
 お約束だという萩から送られた鮮魚(的鯛)に
 仙台牛のシャブシャブ(わずかスライスが1枚)など
 デザートまで10皿近く続きますが、
 傑出した皿、印象に残った料理にまったく出会えなかったのは、
 予想通りとはいえ自腹の身にはがっかり。
 一言で言えば、軽めの創作フレンチ、
 平均以上でも以下でもないといったところでしょうか。
 しかしワインは安い。ボトルで4〜5千円からありますが、掛け率がかなり低く、
 特に評価の高い72年のロマネ・コンティ
 (こんな高価なもの頼む人がいるのでしょうか)が37万円弱。
 89年のロマコン(市場価格は60万円前後)を225万円で出している、
 ゴードン・ラムゼイのソムリエや
 コンラッドの支配人が知ったら腰を抜かすことでしょう。
 <結論>軽井沢に移転して大正解。
 まったく傑出した料理ではありませんが、
 立地の妙と雰囲気で過大評価されて人気店になりました。
 小山薫同氏など業界人は雰囲気や立地に弱すぎです。
 あまりに不自然な肩入れは、田村氏と何か特別な関係があるからか、
 単に味がわからないだけなのか。
 使用食材が変わっても、
 シェフの腕は数年で変わらない事があらためてわかりました。
 カード不可と強気の営業。しかし、何十万円のワインを頼んでも、
 現金を持ち合わせているような成金が
 今の世にそんなに居るとは思えません。
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