第818回
J.C.オカザワ氏の新書を他山の石として 4
店に対して無理強いが目立つ
この原稿を書いている段階で、
未だにアマゾンのカスタマーレビューが一件もついていない不思議。
拙著や来栖王様の本もたいして売れていないと思いますが、
インパクトが強烈だったのか
レビュー数だけは異常な多さでありました。
私が感じるに「辛口」というか、「言いたい放題」では
私の上を行くであろうこのオカザワ氏の新刊に、
レビューが一つもないのが不思議でなりません。
読後のインパクトはかなりあると思うのですが、
注目されない点は出版社の力不足なのか、
彼独特の寒いオヤジギャグが世間に認められないとしたら残念です。
さて今日は、彼が文句を言っている店での出来事で、
この友里でさえ、
それは「ちょっと言い過ぎというか無理強いではないか」
と思われる点について一言。
例えば、「ル マンジュ トゥー」。
この店の料理が何も傑出していない、
再訪に値しない店であることは私と同じ意見のようです。
しかし、文句の付け所がちょっとびっくり。
海外ではどこでも
料理の写真を撮るのを拒否されなかったということで、
この店で癖のある女性スタッフはじめシェフからも
料理の写真撮影拒絶されたことにかなり立腹された模様。
レシピをはじめ盛り付けには知的所有権がないようで、
ロブションなどもかなり働きかけたと聞きましたが、
料理の写真を撮られるのを嫌う料理人がいるのは事実です。
今度こそ恵比寿は閉店と聞きました、
「レトワール」の三鴨氏もそうですが、
ネットなどで広く見られるのが嫌なようです。
ある意味、郷に入れば郷に従えではないですが、
写真撮影を断られて直ぐに切れるのではなく、
同じ喧嘩をするならば、その場で
「なぜ雑誌などの取材では撮影を許すのか」
といった踏み込んだ論争に持っていってもらいたかったものです。
もしくは、嫌がることをして怒らせるより、
煽てて彼らの「本性」を引き出す方が、
ジャーナリスティックだと思います。
いかに彼らに気持ちよく、しかし「勘違い」の思想を引き出して
読者に公開するか、を私なら選ぶでしょう。
また、2千円前後の街場の鮨屋で、
本物の山葵を使っていないことをかなり指摘していますが、
親分であろうマスヒロさんと同じような着目点。
高額店でないのに、なぜ多くを望むのか。
安い店で多くを望むことを
果たして読者は彼に求めているのだろうか。
私も第一巻では、「レトワール」や「幸村」、「かどわき」で
私自身に降りかかった問題を挙げてこれらの店を批判しました。
シェフや板長の性格に踏み込んで、
私怨ではなく第三者的になるように配慮したつもりでしたが、
私怨にちかいと批判も受けた事実があります。
「辛口」というウリに目を奪われ、公平さを失い、
無理強いで「まず先に批判あり」で
店を訪問してはいけないと考え直した一文でありました。
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