第798回
伊勢丹イタリアンフェア 2
マルケージ 伊勢丹臨時店
私の記憶では、イタリアで最初に3つ星をとったビッグネーム店。
アクアパッツァの日高さんも修行されたと聞きました。
現在は星を落としているようですが、
その有名店が有名シェフと共に来日しました。
フェア最初の頃はそのネームバリューを考えて、
整理券まで用意していたようですが、
いつの間にか整理券はなくなりました。
伊勢丹側が思っていたほど客が殺到しないのです。
客はオープン10時半から入っていますが
行列が出来るなど満席にはなりません。
その理由は簡単。
世界ではビッグネームでしょうが、
日本ではレトルトのTVコマーシャルに出てくる
落合さんや山田さんの方が知られているというか、
マルケージがあまり認知されていないのでしょう。
また、料理の値付けが高かったのも原因か。
コースは2種。
前菜とメイン、ドルチェにエスプレッソで4200円。
パスタが加わって6300円と三越フェアの5割増し以上か。
料理を選ぶことが出来ず、
前菜はサーモン、パスタはペンネ、
メインは鱈か牛のロッシーニだけです。
アラカルトもデパートの臨時店にしては高い。
前菜はフィレカルパッチョサラダ仕立てが3150円など2〜3千円、
パスタはウニが2450円、
金箔をはったサフラン風のリゾットが3千円超とかなりの額。
メインも、アンコウの赤ピーマンソースが3400円に、
牛ロッシーニが4千円を超えていました。
これでは、そこそこの「リストランテ価格」で
料理だけで1万円行ってしまうではありませんか。
デパートの臨時店の常識を越えています。
ワインは白、赤と3種のグラスを630円から1千円の範囲で用意。
ビールもあり、三越フェアとは比較になりません。
スタッフ数も多く、リネンのサービスもあり
高いだけのことはありました。
肝心の料理ですが、これが元3つ星店?有名店?
と首をかしげるものばかり。
素材重視とは聞こえがいいですが、
塩をはじめ味付けが緩く食材の質にも疑問。
牛カルパッチョはオイルも少なく、
マルケージが特別に選んだというトリュフも
香りがほとんどしなかった。
ウニのスパも、オイル、塩が足りず味がしません。
北海道産と言っていましたが、このレベルのウニでは難しい。
アンコウの赤ピーマンも、皿が温めておらず直ぐ冷め、
赤ピーマンソースも薄い。
翌日にコースにチャレンジ。
サーモン ディル風味は、洋ナシとマスタードのソースが甘く、
つけないでディルの風味だけで食べました。
ペンネも蜂蜜とシナモンにペコリーノ味とのことでしたが、甘すぎ。
ペンネ自身もゴムみたいで駄目でした。
ロッシーニも、フォアグラ、牛とも質に疑問で
食材の旨みを感じません。
再再度の訪問で食べた、
黄金のリゾット 金箔入り サフラン風味はまったくイマイチ。
高いだけ。
黒米 イカ墨のソースも冷たいピラミッド型に成形しただけで、
たいしたものではありません。
牛ラグーの タリオリーニは、今度はしょっぱいだけでした。
ホタテサラダ仕立ては、ピンクペッパーと生姜を入れるなど
変な取り合わせでびっくりしました。
ある昼前、大荷物のいかにもフードライターといった感じの女性が
不自然に一人で食べていました。
スタッフにイチイチ質問しているのでしょう、
身分も名乗ったからなのか、
最後のほうは責任者が張り付いてペコペコしておりました。
あの「マルケージ」がこんなものなのかと現状を知りたく、
偶然本店へ最近行ったイタリア在住の知人に
店内や料理の写真を送ってもらいました。
ある時刻になると壁が動いて
ガラス張りの厨房が現れる演出は評判のようです。
各料理も写真を見るかぎりおいしそうに見え、
伊勢丹で出ていたようなものは一つもありません。
本格的に造りこんでいるようです。
どうやら日本に上陸したのは、本格的な料理価格だけで、
料理自体は臨時物だったということでしょう。
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