自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第772回
ワインの諸々 74
ユーロになってから高すぎないか

リラの時は邦貨換算が面倒くさかったですが、
いざユーロに転換してから
これほど日本の物価と比べても高いと感じることになるとは
思いませんでした。
日本で1本百数十円のミネラルウォーターが
平均すると1.5ユーロほど。
高いショップでは2ユーロのところもあり、
一番安いと思った店でも日本と同じくらいの1ユーロでした。
日本の水は輸送費がかかっているはずですが、
現地に近いイタリアでなぜこんなに高いのか。

ビールも飲食店では8〜9ユーロ。
千円を軽く突破していますが、
日本では料亭でも千円を超えることは少ないはずです。
グラスシャンパーニュも20ユーロを超えたところもありましたし、
普通のリストランテでも、
前菜、パスタ、メインが20、30ユーロも珍しくありません。
観光客の行かない店がほとんどでしたが、
それでも店内は満席なのですから不思議です。
イタリアは安めだとの先入観は、
ここ数年の訪問で崩れさってしまいましたが、
在住の知人に聞くところ、
ユーロ導入のドサクサで5割は便乗値上げされたのではないか
とのことでした。
最終的な支払いが日本より安かったのは、
先週も書きましたが
数十ユーロでまともなスティルワインが選べるからでして、
料理だけならばどうなっていたことか。
勿論、トラットリアやピッツェリアなど
10数ユーロで料理を満足できる店もありましたが、
ホテル代も含めて年々値上がってきているようで、
行きにくくなったのも事実です。

日本はデフレというか、同じ店では価格の変動が少ないですが、
欧州はエスカレが基本です。
「サン パウ」や「エル ブジ」など有名店でも、
代表されるコース料理は年々値上げしていますから、
かなり日本の高額店に近づいてきました。
パリなどの3つ星店では
3万、4万円料理でかかるといった現象にもなっているようです。
ユーロへの転換と、欧州の新しいグルメブームでの価格見直しで、
我々日本人にはかなり敷居が高くなってしまったと感じています。


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2005年10月2日(日)

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