自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第760回
なぜグルメ本を出したがるのか?

読者の方から
「友里の弟分のレオ氏とDr.ユウキ氏が
場外乱闘になっていますよ」とのメールをいただきました。
別に麻生玲央氏と私の間には上下関係があるわけではなく、
まったく対等で
ときたま情報交換などをさせていただいるだけですが、
出版が同じグラフ社ということで、
世間では弟分と見られるのでしょうか。
早速その論争をリサーチしましたところ、
両者の意地の張り合いに端を発しだけで、
仲たがいするほどの問題なのかと感じた次第です。

「なぜみんな本を出したがるのか」
私だけに限らず、ほとんどの方がそうだと断言できると思う理由を
ここに書かせていただきます。
ネタに困った時、またイントロとして、
私は拙著の出版の経緯を書いてきたと記憶しているので
重複するかもしれませんが、
出版する人間の心理を含めてまとめてみたいと思います。

なぜグルメ本を出すのか、わかりきった質問だと思うのですが
これはずばり、その人の「自己顕示欲」を満たす為です。
この業界の両横綱、山本益博さんや犬養裕美子さんの著書を
アマゾンで調べてみてください。
TVに露出しまくっている彼ら大御所の本でさえ
それほど売れていないのがわかるはずです。
まして、メジャーになりそこなった
横川潤氏、大谷浩己氏、浅妻千映子氏
などの本が売れたとは思えません。
「東京最高のレストラン」でさえ話題になりましたが、
それほどうれているものなのか。
つまり、本の出版による印税で儲ける、生計を立てる。
というのはグルメ本では不可能なことなのです。
出版によってこの業界のなかで注目度が上がり、
雑誌や週刊誌、夕刊紙への執筆依頼がくること
といった効果はあります。
私でさえコラムへの原稿依頼が来ましたし、
宣伝になりますが現在でも日刊ゲンダイで掲載中であります。
しかし、これら出版社から枠を与えられただけの原稿料ならば、
少しばかり数をこなしても
原稿料だけで生計をたてるのはまず無理です。
雑誌の特集企画やプロデュースといった
根本の仕事をすることにより、そしてTV出演することにより、
マスヒロさんや犬養さんのように
やっと利益をあげられるようになるのです。
世に数あるグルメライターのなかでも
有名な方がいらっしゃいますが、
なんとか生計をなそうとするならば、
数多くの雑誌へ執筆の営業活動や、
食の分野で執筆以外に活動範囲を広げる努力をしているはずです。

何がいいたいのか、
つまり、単発のグルメ本などは売れてもその部数は知れているもの。
出版までの手間暇を考えたら、
手にする印税ではまったく費用対効果を期待できないのです。
では、なぜ、それでも出版するのか。
それは「自分の本を出版できる」ということ自体に
魅力があるからです。

1、自分の考えや文章を世間に発表して注目を浴びたいという
  「自己顕示欲」。
2、知り合いから「凄―い、本を出版したんだ」と羨ましがられ
  話題の中心になれる、
  これだけ俺は知っているぞと認めさせたい「優越感」。
3、自分の意見で世間を啓蒙していると錯覚する「自己満足感」。
4、あわよくば大ヒットして印税収入が入り、
  有名にもなってこの業界のご意見番になれるかもといった
  「拝金欲、上昇志向」。
5、業界人や有名人との人脈を広げたいとの「ミーハー欲」。

私も含め、「さとなお」氏や麻生玲央氏など
本を出している元素人、素人は
多かれ少なかれ理由はこんなものしかないはず。
出版記念パーティーなどをしてもらって
それを自慢する人が多いようですが、喜んで出ていくこと自体、
この「欲」の満たし以外の何物でもないからです。
又これはグルメ本の著者に限るものではありません。

世間へは「欲」というものをむき出しにするとウケが良くないので、
なるべく「綺麗事」を並べて自分の「欲」を隠す人がいますが、
本を出す著者、HPやブログの主宰者、無償のコラム執筆者は、
これらの「欲」なくして
そのパワーを維持することが出来るはずがありません。
別に誰でも持っている「欲」でして、
隠す必要はない、無理して隠す方が恥ずかしいと
私は考えております。
ユウキ氏ほどの方が、こんな簡単なわかりきった事を世間に問うのは
ちょっと大人気ないのではないかなと・・・

<明日につづく>


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2005年9月20日(火)

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