自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第710回
友里が選んだ今年前半オープンこの10店

今日のコラムでは、友里が選んだ
今年前半オープンの10店を取り上げてみることにします。
飲食店と協調関係にあるライターやジャーナリストと違いまして、
無理して「お勧め店」を10店選ぶような能のないことはしません。
お勧め店のほか、可もなく不可もなし、お勧めしない店、
もあわせて10店を紹介させていただきます。
これが本当の「今年前半オープンこの10店」です。

お勧め店

1、鮨 水谷
  「次郎」と同じくコテコテの江戸前ではありませんが、
  タネ質、酢飯のバランスがよい高額鮨屋。
  ゴッドハンドと持て囃されて、夜なら軽く3万円を突破する
  「すきやばし 次郎」へいくならば、
  歩いて数分のこの店がお勧めです。
  浅妻さんや王様とダブっちゃいました。

2、銀座 芝蘭
  赤塚の時はそれほどとは思えなかった四川料理店。
  どうせ、勘違いして銀座に出てきたかと入ったのですが、
  なかなかのもの。
  なぜか裏メニューになった陳麻婆豆腐も
  麻、辣のバランスがよい。
  コースは5千円からあるようだが、単品は2千円前後。
  勘違い値上げで不振の「趙楊」を反面教師にしたのか、
  移転前の繁盛店だった「趙楊」の価格に似せた設定です。
  この店の出現で、「趙楊」は更なる苦戦を強いられるでしょう。


可もなく不可もない店

1、ドン ナチュール
  「あら皮」出身のスタッフ2名が銀座にオープン。
  客単価は「あら皮」の半値で、
  肉も三田牛に拘らず仙台牛などを使っているようですが、
  食べた満足感も価格なりです。満足感も半減か。
  「リトルあら皮」と先入観を持って訪問すると
  失望する可能性があります。

2、カーサ ヴィニタリア
  あっという間に予約困難なイタリアンに。
  しかし、キャパを抑えているので、
  ちょっと話題になれば予約が入りにくいのは当然なんです。
  アロマクラシコを大箱にして人気店にならなかった反省から、
  昔のアロマフレスカのタイプに戻したのでしょう。
  仲間は、コースは駄目だしでしたが、
  アラカルトは悪くは感じませんでした。
  でも、無理して行くほどの店でもないでしょう。
  併設した「アロマフレスカ」は
  9500円コースで絶品との噂があります。


お勧めしない店

1、チャイニーズレストラン 直城
  主人の問題点は既に書きました。
  夜でも小さな女の子が店へ出て来ていました。
  住居と兼用なのでしょうか。
  訪問の詳細は後のコラムに譲りますが、
  メリハリのない、緩い四川風中華の連続です。
  町田の時の方がまだましです。
  犬養さん、大谷さんの口車に乗ってはいけません。

2、メゾン ド ウメモト
  量が少ない。単品は高すぎる。
  安いコースでも一人1万円は超えてしまうでしょう。
  あの量でエビチリや酢豚が3千円前後とは考えられません。
  そして、味はまだ修業先であった「シェフス」の方がましです。
  盛んに師匠は上海の富裕層だ、1000レシピ教わった
  と宣伝していますが、円満に師匠と別れたのかどうか
  私は疑問であります。現在は交流がないのでは?
  一時は取材拒否と言いながら、店前には大きな看板、
  そして客が来ないからか、安めのコース(3800円 時間限定)も
  出してきました。

3、アザブハウス
  この店の料理がおいしいという人の嗜好、志向がわかりません。
  種類を極端に絞っているのだから、
  せめてクオリティが並でなければ意味がありません。
  ヘタッたグラスワインも高すぎです。

4、野菜料理 正(ゴカク)
  正確には今年オープンなのかどうか。
  一時期マスコミが異様に取り上げました。
  確かに野菜を主体にしたコースで5500円は一見安くみえるが、
  量が足りないからか追加で刺身(600円)、
  焼き鳥(1200円から)などを頼むと、結構高くなります。
  一番の問題はヘルシー志向をウリにしているのに、
  喫煙可であること。考えられません。似非ヘルシー野菜料理屋。

5、プチレストラン ないとう
  春に以前より大箱な店に移転。
  豚カツなど揚げ物が素晴らしいと評判で、
  油にも拘りがあるそうですが、
  肝心の肉質にも少しは拘っていただきたかった。
  油も色濃く古そう。衣もはがれやすく、
  ソースや芥子の力を借りなくては食べられません。
  塩だけでは無理なトンカツ。

6、室町和久傳
  移転してあの京都伊勢丹にある
  「京都 和久傳」の料理長がヘッドを兼務。
  京都の料理人仲間では、肩に力が入って今は試行錯誤ではないか
  との評判です。
  野菜が主体で昼は6千円。
  量も少なく原価を考えると高すぎです。
  カツオのタタキにラッキョウを入れているなど
  創作料理と考えてください。
  鮎などいくつかを追加したら、
  夜の価格(1万2千円)になってしまいました。
  建て屋は雰囲気がよいのですが、換気がわるく、
  鮎などを焼くと煙が天井向けて立ち上ります。


上記の店名の前の番号はあくまで整理のためのもので、
「お勧め」や「お勧めしない」順位ではありません。
でもこれじゃやっぱり雑誌社から執筆依頼はこないでしょうね。


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2005年7月20日(水)

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