自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第677回
業界人のお勧め店 その3
こんな店が何故流行っているのか、和心

いつのまにグルメな「放送作家」に変身してしまったのか、
すすきB氏。
本出版の影響からか、最近は「Hanako」でも
「青山の達人」として店紹介記事に登場してきました。
以前のコラムでは、彼の本で薦めている、
私にとって疑問の店に飛び込んで確認していると述べましたが、
いくつか飛び込んでの私の感想は、
「なぜこんな店が流行っているのか」でした。

そんな中でも横綱格は西麻布の鮨屋「和心」。
「麻布食堂」の隣というより、
「鮨 真」の対面といった方が今はわかりやすいでしょうか。
乱立で鮨屋の激戦区になった西麻布において、
今のところ勝ち組です。
2〜3年前、まったく客が入っていなかった不振の居酒屋が撤退、
全面改装したあと鮨屋になりましたが、
担当部門は変わったが
経営会社は変わっていないという噂も聞きます。
一万円チョイで豊富なおつまみと握りが堪能できる店ということで、
すすきB氏の評価は視聴率23%、
大ヒット番組の評価となっております。
確かに人気です。
18時からのオープンですが、深夜まで満席。
しかも飛び込み客が頻繁にきて断られていました。
客層は若い人も多く、業界系が主体、
主人と人脈自慢に話がはずんでいる様子が
私には違和感を覚えるのですが、
肝心の食材、タネ質は極めて凡庸なのです。

でも当たり前なんですね。
主人は聞いてもはっきり修業店名を言わず、
「南青山の店にちょっといた」と避けたがっているようですが、
元は骨董通りで同じような価格帯で出前もやっている
「くま川」という
江戸前ではない新鮮ネタ志向の鮨屋から
若手が引き抜かれて出来た店と聞きました。
本家の方はこれほど盛況ではないようですが、
技量的にはその店よりかなり落ちる人が主人になっているお店。
種々のツマミの質はイマイチ、
握りに一応煮切りは塗ってありますが辛すぎ、
酢飯はまったく弱く、
手で掴んだら米粒がはがれて指にくっついてしまいました。
大トロ桜チップ燻しは、
普通のトロの100倍おいしいとのことでしたが、
胡椒までかかっていて味をごまかしているだけ、
結構飲んで食べたら結果1万5千円を軽く超えてしまいました。
これならほとんど支払いが変わらない「しみづ」の方が
100倍おいしいと私は考えます。
(最近のしみづ訪問で、
前から疑問だったシャリが改善されて良くなり、
私の食後感はかなりかわりました)

なぜにこれほど流行っているのか。
誰かあまり鮨に詳しくない「業界人」がおいしいと錯覚し、
口コミで宣伝、間違って流行ってしまった結果と考えますが、
同じ若手の鮨屋でも、
近辺の「真」、「すし 泉」、「なかむら」などとは別物のタネ質。

業界人の皆様、
この店が、
本格江戸前のおいしい鮨屋だと思って訪問してはいけません。
今後の鮨屋訪問人生を誤ります。


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2005年6月17日(金)

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