第671回
デュカスに続いてガニエールまで
以前コラムで、「ラポルト青山」というビルの営業方針に
疑問を述べました。
今年2月にビルがグランオープンしたというのに、
テナントである飲食店のいくつかがオープンしていない不思議と、
前宣伝は派手でしたが、規模の小さい雑居ビルのごとき
その実態に唖然としたものです。
特に目玉ともいうべき、
デュカスの店が10階と11階の2フロアに入ることは
発表されていましたが、いつオープンするのか、
その店名さえも決まっていなかったのは、
完全に営業上失敗だったと思います。
そのデュカスの店がようやく明らかになりました。
オープンはなんとビルのグランオープンから半年以上経つ9月1日。
店名は「ブノア」で、
10階は1皿からオーダーできるビストロとバー、
11階はコースを提供するようで、デュカスの目指すコンセプトは、
「肩肘張らずにくつろげる店」。
しかし、小さな雑居ビルの如く
あまり豪勢とはいえないビルに入店して、
「進化し続ける青山にふさわしい、今を感じてもらえるもの」
を提供するというのですが、「ベージュ トウキョー」と同じく、
日本を舐めていると感じる店になるのではないかと危惧する方は、
私の他にもかなりいらっしゃるのではないでしょうか。
また、自分の店を閉店してから極東の小さな国でバラエティ番組、
「料理の鉄人」に出演しなければならないまで
どん底に落ち込んでから、
パリで3つ星シェフとして復活したピエール・ガニエールも、
この11月に青山に進出してくるようです。
「ヴェロックスビル」という実態はよくわかりませんが、
ハイブランドのテナントや
有名レストランが入店すると噂されているビルに進出です。
バルザックでこじんまりと営業していると思っていた
ガニエールですが、
分店を思い切って東京に選んだ思惑はなんなのでしょうか。
デュカスと同じく、名前とレシピだけを渡しての
単なる名前貸しで儲けようとしているのか、
いずれにしても日本を舐めてかかっているのは間違いないでしょう。
料理評論家、フード・レストランジャーナリストたちによって、
純粋化され、洗脳されてしまった
読者や一般客が多い日本の客層ですから、
つけ込まれる隙があるのは仕方がないことかもしれません。
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