第629回
友里はレトワールに罪悪感がある?
読者の方からいただくメールの中で、
おそらく一番多いテーマは、
あの恵比寿の「レトワール」についての感想です。
人によって色々な見方、考え方があり
それを各自が自由に表現できるのが民主主義だと思うのですが、
いただいた感想はほとんど皆同じです。
料理はいいが、あのオーナーシェフの客に対する態度、
口のきき方、営業姿勢はいかがなものかというものです。
先日、ネタ探しでネットを検索していたら、
ある方のHPに、友里征耶へのコメントが載せられておりました。
「客足が伸びないレトワールに対して
友里征耶は罪悪感を持っているようだ。
後悔が少なからず感じられ、よって何回も取り上げているのだろう」
とありました。
なるほど、私のコラムを読んでいただき、
拙文からこのように汲み取られる方もいらっしゃるのかと
びっくりし、そういう面が自分にあるのかなと考え直した次第です。
集客が芳しくない(シェフ本人は認めていないけど)のは、
拙著やコラムの影響ではないと思います。
前述したように、
読者の方々が既に同じような食後感を持たれていますが、
それは私のコメントに影響されたものではないようです。
自分も前々からそう思っていたという方がほとんどです。
ですから、私自身、
意図的に無理に批判をしたとは思っていませんので
罪悪感を自覚していませんでした。
料理の腕は認めるものの、
あの意固地になってますます孤高になってしまうシェフのキャラが
取材対象としては興味があるので何回も取り上げました。
ただ、その心理の裏に「罪悪感」の存在を
まったく否定はできないかもしれません。
以前、料理人仲間や先輩などが
オーナシェフにアドヴァイスしたらいいと書きましたが、
そんなに甘い物ではないそうです。
料理店、特にフレンチはイタリアンに押され気味でどこも激戦です。
レトワールの料理の質は、他店には大変脅威でありましょう。
ですから、まともにアドヴァイスして立ち直ってしまっては、
自店の客が減る可能性があるので、
そんなお人よしな事はしないと言われたことがあります。
水球と同じで、水面下では足のけりあい、
引っ張り合いをやっている業界なのでしょうね。
人気があるのに嫉妬して、
ドタキャンで困らせる同業者と思われる予約が多くて大変だ、
とよく人気店の関係者が言っているのを思い出しました。
罪悪感があるかどうかは別にして、
私は一般客としては嫌な思いをしなければ
リピートしたいと思うレトワールの料理。
おそらく多くの方はそうお考えと思います。
パスタランチを始めたことを、
わざわざマスヒロ氏へ連絡するよりも、
やること、改善することは他にもっとあると思うのですが。
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