第611回
蟹の時期だけは混んでいる、シェフス その1
あまりマスコミに登場していない、
新宿御苑駅から徒歩10分ほどの
喫茶店のような外観の上海料理店です。
マダムに癖があり、以前招待客も含めていい思いをしなかったので
訪問を控えていたのですが、
ある雑誌で大々的取り上げられた記事の内容にびっくりしました。
「都内某所」、「匿名希望」として神秘性を持たせた紹介記事では、
上海で育ったシェフは
6歳の時に「オメガ」のストップウォッチを父親から買ってもらい、
おいしいゆで卵の調理時間を割り出す道具として使用。
その後上流社会にだけ許されたエピキュリアンの道を歩み、
「蟹は生きたまま、それもミソだけ食べるものと、
子供の時には思っていた」とあるのです。
つまり、主人は、かなりの環境で育った
一般人とはかけ離れた金銭感覚の持ち主のように
紹介されていたのです。
なんという嫌味な性格の主人のことか。
10年前までは渋谷方面で営業していた時の店構えや、
その後この地へこの店構えで移転した主人の経歴からは、
当時の上海で幼少時にオメガを持てる富裕層、
エピキュリアンの面影はまったく感じ取れません。
幼少の頃からオメガを持てる富裕層、エピキュリアンの一員が、
なぜ日本の小さな中華店で料理を造っているのか突っ込まず、
仮にそれが本当だとしても、
それを自慢のごとく取材で口外する主人の辞書には、
「謙虚」という文字はないのでしょう。
山本益博氏は店名や住所を週刊誌で公開していました。
「美食の王様」でも掲載されていますので、
友里が取り上げても良い店と判断、
上海蟹の時期にだけ予約が困難な店なのですが、
この時期運良く再訪に成功しました。
<明日に続く>
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