| 第547回料理も店も増やさない、OZAWA 1
 
 「衝立(屏風)と店は広げると倒れる」。ある料亭の主人から聞いた格言です。
 昨年、オープンして1年あまりしか経っていないのに、
 六本木ヒルズに7店舗出店している
 飲食店多店舗展開会社「ソーホーズ」が倒れ、
 同じく東京、大阪などへ10店舗近く出していた
 「エノテカ」がレストラン部門を売却、
 「青柳」グループもピンチなのか
 六本木ヒルズから3店舗すべて撤退するなど
 この格言通りの展開となってきています。
 飲食店に限らず、「そごう」しかり、「ダイエー」しかり、と歴史は繰り返されているのですが、
 料理人や多店舗展開会社の経営陣は楽天的なのでしょうか。
 それとも学習機能を持っていないのか。
 今尚、各地で支店や分店の増殖を繰り返している中、
 この「OZAWA」はオープンしてから15年ほどになりますが、
 マスコミへの露出も少なく分店を出す事もなく、
 マイペースで営業を続けている謙虚な店の1つと言えるでしょう。
 白金台駅から徒歩で5分、プラチナ通りに面した奇抜な緑のビルの地下にあります。
 バブル期のお決まり、外人デザイナーの作になるこのビルは、
 お洒落な街となった白金でもいささか浮いています。
 外から丸見えのヘアーサロンの横を通って
 脇の入り口から地下に降りるのですが、
 階段が折り返しになっていてホールが直ぐに見えず、
 一見客は入りにくいでしょう。
 通りを歩くフリの客を期待しない、
 常連と地元客主体の東京風フレンチであります。
 オープンキッチンの奔りの店だったのではないでしょうか。今でこそホールから丸見えの厨房が珍しくなくなりましたが、
 当時のフレンチでは画期的だったと記憶しています。
 <明日に続く> |