自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第545回
再開発ビルへ入ってはいけない店

複合商業施設に出店しては駄目だという本が
拙著以外にもあるくらいですが、
だからといって誰も出店しなければ
森ビルはじめデヴェロッパー側のプロジェクトは、
成り立たなくなります。
よって、各料理店が出店を嫌がるようになれば、
賃料やその他入店条件を緩くするなどの緩和で
誘致をしてくるようになると思います。
賃料も安い、ピンはねもしない、
設備関係も指定業者を使わなくて良い、
となるとかなり負担も軽くなります。
でも、やはり再開発ビルには
向いていないカテゴリーの飲食店があるのではないでしょうか。

私は六本木ヒルズ、交詢ビルによく行っていましたので、
その事を考えたことがあります。
なぜ、交詢ビルの4階で四川料理や豚カツが不振なのか。
最初の価格が高すぎたという戦術の失敗でしょうが、
それ以外にもあるのではないかと思いました。
不振な店は、元来予約をあまり必要としない店、
回転が遅い割に客単価の安い店などです。
一部「平田牧場」のような繁盛店はあるでしょうが、
元来豚カツ屋はそんなに予約をしていく店ではありません。
豚カツや焼肉といったものは、
店の前を通って急に食べたくなったから入った、
という場合も多いと考えます。
つまり、御徒町の御三家を除いて、
豚カツは人通りの多いところでないと難しいのではないか。
何日も前から行こうと思っている客は少ないでしょうから。
そういった意味では、
あのフロアは人通りが皆無ですから立地は最悪です。

四川料理も単価が低いのが相場ですから、
賃料の高いところでは向いていません。
ホテルの中華で四川が少ないのがよい例です。
無理に高くすると客は寄り付きません。

ヒルズでいうと、
スープストックなど回転率の高い店もどうでしょうか。
ここだけにある店ではありません。
そのビルのビジネス客がランチでたまには行くでしょうが、
訪問客はわざわざヒルズに来て
どこにでもあるスープ屋に入るとは思えません。
何にしてもこの店は出店しすぎで新鮮味がなくなりました。
早晩壁に当たると私は考えます。
回転すしも一時は人気でしたが、どうだか。
これもここまで来て食べるものではないからです。

こう書いていくと、高級店は高級店で
わざわざ再開発ビルへ食べに行く必然性を感じないと
述べましたから、
やはりほとんどの店が再開発ビルに入ることは意味がない、
と結論になってしまいました。


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2005年2月5日(土)

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