第525回
ワインの諸々 その44
良いワインは若くても飲めるのか
最近珍しく若い、90年代後半のブルゴーニュ特級畑や
1級格付けボルドーを飲む機会がありました。
私の持論は、本来ワインの格が上がるほど
(ボルドーなら格付けが上、ブルゴーニュなら村名、
1級畑より特級畑)ワインは長熟。
長い年月をかけて独特の味わいがでてくるもので、
若いものはタンニンがきつくて飲めたもんじゃない、
というものでした。
造り方が変わってきて、
早飲みのアメリカ巨大市場を意識していると言って来ました。
デイリーとして家で飲む、外でも焼肉などで飲む
格付けの低いワインを除いて、
意地でも90年代以降の若いワインは頼まない主義
(店になければ仕方ないです)でした。
今回、ビッグネームの若いワインの提示がありまして、
仕方なく飲んだのですが、
私の常識からかけ離れたというか、
考えていた味わいと違うのにびっくりしました。
よく言えば思ったより熟成感がある、
悪く言えば「ヘタっているのかな」というくらい、
飲みやすいものだったのです。
知り合いからも
「良いワインは若くても熟成させてもおいしい」と良く聞きます。
時代は進んでいるのでしょうか。
有機栽培だとか色々自然派主体の流れにもなってきています。
そろそろ熟成ワインに固執する考えを
転換しなければならないのかもしれません。
現に、たいていの店では古いワインは見当たらなくなってきました。
若いワインを毛嫌いせず、
すすんで飲んでいかなければならない時代に
なってしまったようです。
でも「良いワインは早くても熟成させてもおいしい」は
本当なのでしょうか。
ここ10年程前からのワインです。
つまりまだ熟成したワインは実在していません。
実証されていないのだけにこの理論は不思議であります。
以前一時的に人気が出た、ブルゴーニュの造り手、
ドミニク・ローランがやはり「自分のワインは長熟である」と
自信満々に発言していたのを思い出しました。
でも彼は88年頃からワイン造りを始めて
まともなワインができたのは90年代になってから。
わずか数年しか時間経過していないのによく言うよ、
と受け取ったのは友里だけだったでしょうか。
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