| 第480回友里征耶と客を斬る その4
 質を考えずに高級食材を出すだけで評価していいのか
 
 マツタケ、キャビア、トリュフ、鮑、スッポンなど和、洋のジャンルを超えて
 これら高級食材は色々な店で使用されています。
 最近友里が不思議に思うのが、
 たいした料理でもないのに人気がある和食屋です。
 凡庸な出汁、上質でない食材などを使って、
 1万円前後の夜コース、数千円の昼弁当で
 銀座近辺に集中していますが、連日女性客を主体に満席です。
 なぜに流行っているのか。これらの店の共通点は、
 上記のような高級食材といわれているものを使い、
 盛り付けの見映えのよさでしょう。
 しかし、同じ食材でも質、つまり価格はピンきりです。
 何も香りがしないトリュフ、食感の悪い味わいのない鮑、
 しょっぱいだけのキャビアなど、
 ただ入れてあればいいというものではないはずです。
 以前中国産の黒トリュフを都内のスーパーで見かけました。
 1ケ数百円だったと記憶していますし、
 どこの産だかわかりませんが
 マツタケも100円鮨のお椀にも出る時代です。
 鮑にしてもキャビアにしてもしかり。
 要は高級といわれている食材を見ただけで喜ぶのではなく、
 客は味わいがどうかを評価するべきと考えます。
 高額料亭のように超一級の質が必要なのではありません。しかし、和食とはいえ1万円を超えるコース価格は大金です。
 その価格の中で、そこそこ充分満足な食材と
 出汁などしっかりした料理を提供している店もあるのですが、
 たいていの店は
 見かけだけで客を洗脳しているとしか思えないのです。
 料理は盛り付けなど見た目も重要な要素ではありますが、基本は価格に見合うだけの質の食材と腕を使った料理の提供です。
 ランチがかなり人気の店、
 フード・レストランジャーナリストたちのお勧めで来た
 女性客の多い店、ハナコなどガイド雑誌常連の店などに
 この傾向がよく見られます。
 特に雑誌やフード・レストランジャーナリストたちが、
 質を考えずこの高級食材の有無だけで
 キャーキャーいっている場面をみます。
 我々一般客としては、
 上辺ではなく、じっくり食材の質を見極める、
 経験をつむ、目(舌)を養うことにより、
 店側にフィードバックをかけて
 CPの良い料理にめぐり合いたいものです。
 私も素人の一人ですが、フード・レストランジャーナリストと名乗っている人たちも
 数の経験は素人より多いでしょうが、
 中身は素人と変わらない人ばかり。
 何でも鵜呑みにしないことが重要です。
 
 
 - 追記 -
 
 昨日のコラムで読者の方からご指摘をうけました。
 「トレフ ミヤモト」の
 テレ朝通りの店がクローズしたのは事実ですが、
 六本木に移転していただけだとのこと、
 その後を調べておりませんでした。
 読みようによっては、店じまいにとれる表記ですので、
 ここに訂正させていただきます。
 ご指摘をいただいた読者の方には御礼申し上げます。
 読者の方のお話では、今まではロケーションが悪かったので移転したとのことでした。
 つまり集客という点では苦労していたということでしょうか。
 しかし、交詢ビルや
 六本木ヒルズけやき坂通りの店ではありませんが、
 場所さえよければ客が来るという時代ではなくなってきています。
 宮本さんには移転を機会に、客側にたった
 CPの良い店にして繁盛していただくことを期待しております。
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