自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第364回
イタリアンになぜかフランスワイン、
グットドール クラッティーニ 2

産地や生産者に拘った食材の列記で、
メニューは見難い感がありますが、
様々な食材を創作的に組み合わせています。
食材の取り合わせの妙だけのサプライズ料理に見えて
またまた損をしていますが、
料理は香草を多く使用するなど
ある意味特徴を出した創作系のものです。
この価格からいえばポーションも味のインパクトも充分。
生牡蠣とカリフラワーを合わせたショートパスタは
フェンネルがかなり利いていましたし、
蛍烏賊とふきのとうという組み合わせの意義はわかりませんが、
苦いものを素直に苦く調理していて
面白いスパゲッティとなっておりました。
「カメレオン」のサプライズとは違います。

プリモまででシェフの力が尽き果ててしまったのか、
セコンドは豚、牛、鹿、鶏と魚の7皿。
前菜、パスタのポーションにくらべて、
セコンドの量がやや少な目が気になりました。
銘柄豚にコーヒー、シナモンそして八角、
信州和牛タンに味噌や蜂蜜の味付けをするなどやりすぎで、
本来の食材の旨みを消している気がしますが、
いずれも2千円以内なのでそう文句は言えません。

手書きのメニューが読みにくいのと、
「かなりいい肉」、「とっておきの生うに」など、
つけなくて良いような形容詞が目立つのは
最近の流行なのでしょうか、軽薄に見えてしまいます。

料理は3皿で5千円超、
しかしそれに500円のコペルトが加わります。
パン2種、リエット、カップスープの代金のようですが、
リエットとパンのおかわりがありません。
そしてスープはイマイチ。
私は言いたい。
こんなスープを出すかわりに、
パンとリエットを多く出していただきたい、と。

ワインは経営母体を考えてかなり期待したのですが、
ちょっと拍子抜けでした。
値付けは高くないのですが、なぜかフランスワイン、
とくにブルゴーニュが主体となっています。
それも種類は少ない。
3800円から2万円くらいの範囲ですが、
ボルドーにいくらか古いものがありましたがベースは若いワイン。
小売の1.5倍程度で頼みやすいのは事実ですが、
イタリアワインはCPを考えたからか
サルディーニャやシチリアものがいくつかありましたが、
他の州の物は数えるばかり。
しかもIGTやVDTものが主体で絶対価格を抑えています。
頼みやすい1万円以内のワインに知られた銘柄が少ないので、
正確な掛け率がわかりません。

グラスワインは800円から白、赤と4〜5種用意されています。
数日前の抜栓と思われる、
後1杯分ギリギリのボトルを見せられたら、
好きなセパージュでも頼む気はしません。
最後まで使い切らないで賄いにまわす太っ腹が必要です。
もしくは種類を減らして、せめて回転率を上げていただきたい。

料理を3皿、おかわりのいないパンで量はまずまずとも思えますが、
適度なワインを頼んで一人1万円超。
ただし頼むワインによって予算はかなり変動する店です。

<結論>
創作イタリアンだが、味の主張をしっかり感じます。
でも、香草を得意としていない人には向きません。
色々シェフの創作を試してみたく
リピートしたくなる店と私は考えますが、
ワインバーとしての利用は難しい。
経営母体がワインの卸しの割には思ったほど安くはない。
凝り過ぎのセコンドより前菜、プリモに魅力があります。
セコンドを頼まず、
その分前菜やパスタを増やす頼み方もあるでしょう。


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2004年7月13日(火)

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