第239回
友里征耶の疑問 その5
評価は先に言ったもの勝ちなのか
最近シェフではなく、サービスに携わっている人が
オーナーだと言われている店が多くなりました。
オーナーシェフの店と言われているところでも
実際のスポンサー、オーナーは別というのが結構あるのですが、
ジャーナリストと名乗っているのに
そのような本質を無視して間違った情報を垂れ流している
自称フード・レストランジャーナリストが多いようで、
この業界はあまり信用できません。
「オー グード ジュール」は
オーナーメートルの店と言われています。
確か、「ロンフウフォン」も
サービスの人がオーナーと言われていたと記憶しています。
この両店で共通している
彼らフード・レストランジャーナリストたちの評価は、
そのサービスの素晴らしさです。
「オー グード ジュール」のメートルは確か
「ドン ピエール」という
洋食とフレンチの中間のような店に勤めていて、
「ル ブルギニオン」を経て今の店のホールに立ちました。
「ロンフウフォン」でのたった一人のサービススタッフは
「メゾン ド ユーロン」に勤めていたのでしょうか。
しかし、実際にこれらの店へ訪れて感じ取ってみてください。
確かにサービスが劣悪であるわけではなく、
そんなに不満があるわけではありませんが、
傑出したもののように評してしまっていいものなのか。
だいたいサービスというものは、悪くは簡単になりますが、
奥深くそう簡単に極められるものではありません。
最初に一部のフード・レストランジャーナリストが
言い切ってしまったのでしょう。
「サービスの達人」という言葉だけが独り歩きしてしまい、
訪問客はその先入観だけで、
普通の応対、客のことを考えた当たり前の言動にも
感心してしまっていると私は思うのです。
確かに悪くはありません。
しかし、彼らを達人と言ってしまっては、
同じレベルもしくはより上のレベルの他店のサービススタッフは
どう表現すればいいのでしょうか。
あまりに簡単に言い切る彼らのセンス。
スタッフにまで癒着があるのかどうかはわかりませんが、
この「最初に言ったもの勝ち」の評価スタイルが
読者を混乱させている一つの原因と考えます。
料理店で言えば、昔は早稲田の「松下」、
最近の流行では「ロンフウフォン」。
誰かが最初に素晴らしいと
過大評価で言い切ってしまった後遺症から、
一般読者はなかなか抜けきれないのと同じです。
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