自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第209回
再び「マルディ グラ」

料理評論家やフード・レストランジャーナリストの絶賛と
あまりにかけ離れた初訪問時の私の食後感。
自分の体調や同伴者との相性が悪かったのかと
あらためて再訪したのですが、傷が広がっただけでした。
何度訪問しても巷の高評価を
料理やサービス、ワインに感じないのです。

細長いホールでスタッフは2名が
入り口付近に待機していていますので、
テーブルウォッチングが難しいようです。
振り返り、手を上げるといった行動をとらないと
意思を伝えにくいのです。

前菜はピンチョスやパテ、野菜など
かなりの種類が1〜2千円の範囲であります。
焼野菜や一串料理のピンチョスは、
その場で炙り、揚げているようですが
後は造り置きが主体らしくオーダーしてすぐでてくるのですが、
ウリのポテトフライは
他の客のオーダーと合わせて揚げているのでしょうか、
他の前菜が食べ終わるころようやく出てきました。
フレンチになぜポテトフライ、といった
野暮な指摘はしませんが、
これはビールにあわせて食べたいもの。
ところが肝心のフライがでてくるのが遅いので、
ビールを飲み終わり
他の前菜に合わせて白ワインを飲みきるころに登場ですから、
がっかりです。

焼き野菜やパテなど他店でも味わえるものの中、
アミューズとしてでてきた
キッシュが一番印象に残ったのは残念。
2〜3千円の設定のメインも特徴は量や部位です。
無菌豚は脂身が半分あります。
確かに豚は脂がうまいとはいえ、
脂だけを口に入れて食べ続けるのは限度があります。
一口で良いのではないでしょうか。
思ったより薄く切ってあり、肉部の味わいはあまり感じません。
無菌で無旨みになったとは思えないのですが。

看板料理の一つなのが栗ソースの猪ですが、
部位が悪かったのかポーションの割に骨ばかりで身が少ない。
その割に、骨部に旨みをあまり感じませんでした。

ワインも私は戦略を間違えていると思います。
一応、4〜1万円くらいを揃えていますが、
主体が7千円前後と高いワインなのです。
値付けというより
CPの良いワインをあまりリストアップしていません。
イタリアワインなんかを置くくらいなら、
もう少しフランス南西地方のワインを揃えるべきです。
繊細な味付けの料理ではなく、豪快な焼き物が主体ですから、
骨太でもともと安い卸値の南西地方や南仏で、
4〜5千円を主体にすることを望みます。
よって適度な量のワインでも一人1万円は超えてしまいます。

<結論>
ワインバーと覚悟して行くならば別ですが、
料理店として考えるなら、あのフライドポテトだけでは苦しい。
前菜もメインもボリューム以外に特徴、良さを感じません。
数ある過大評価の中の1店。


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