| 第188回ソムリエの実力・実態 その13
 キャビンアテンダントにソムリエ資格は必要なし
 以前、キャビンアテンダントの人達のソムリエとしての技術、能力の疑問を書きました。
 普段のサービスでは、抜栓にソムリエナイフを使っておらず
 慣れていない人が多いのです。
 スクリュー式を機内では使用しています。
 ですから、彼女らは、
 認定試験で抜栓の実技試験を不得意にしています。
 実際、スクールなどでも
 実技試験の練習で四苦八苦している
 多くのキャビンアテンダントを見てきました。
 また、その出身である講師でさえ、模範演技で
 コルクを切ってしまった場面を見せ付けられたくらいですから、
 彼女らの腕は知れていると考えます。
 ところで、今回の旅行で、初めて機内でブショネにめぐり合いました。
 注文してわざわざ開けてくれたものでしたが、
 妻でも瞬時にわかるくらい、由緒正しい「ブショネ」です。
 私が怪訝な顔をしたのでしょうか、
 担当の方が温度の問題かと声をかけていただいたので、
 この際はっきりと「ブショネ」と申し上げた次第です。
 すぐさま新しいボトルに交換してもらったあと、ソムリエ資格を持っているというアテンダントの方が来られて、
 説明をされました。
 「確かに香りを嗅いでみると、らしき感じがする」
 とのことでした。
 私はこのとき初めて気がついたのです。
 機内のアテンダントたちは、
 業務中はアルコール摂取ができないそうです。
 口に含む事もできないそうで、
 よってテイスティングもできません。
 ワインの香りだけで、
 「ブショネ」やワインの状態を判断しなければならないわけで、
 これには無理があるでしょう。
 嗅覚だけでワインの状態を判断することは難しいのです。
 店ではどんな有名ソムリエでも、
 テイスティングをして最終判断をしています。
 コルクの端の匂いやグラスに注いだ少量のワインの香りだけでは、
 判断することは困難なのです。
 逆に言うと、機内でテイスティングできないキャビンアテンダント。
 スクリュー式で抜栓し、ただグラスに注ぐだけの役割でしたら、
 彼女らに「ソムリエ資格」はまったく不要、無用、意味なし、と
 考えます。
 ソムリエがやらなければならない仕事を放棄しているからです。
 でも、彼女らがソムリエ資格を必要としなくなったら、一番困るのは「日本ソムリエ協会」でしょう。
 受験生が支払う、講習料や受験料は大事な収入なのですが、
 それが激減してしまいます。
 でも私は言いたい。キャビンアテンダントに認定試験は無意味だと。
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