自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第154回
この店も過大評価だ、「ロンフウフォン」その2

料理は黒板に手書きで書かれています。
前菜、魚、肉、野菜に分けられ各5〜6種、
かなりの種類の料理が用意されています。
単品ごとに値付けされていて、各2〜3千円なのですが、
2人前以上で頼まなければならず、
そうすると金額もはりいくつもの料理を頼む事が出来ません。
1皿の料理が5千円近くになるのですからあまりに高い。
つまりアラカルトでは頼めないように設定しているのです。

よって、この店ではコースを頼まざるを得ないのです。
「半お任せ」スタイルでして、8皿で5800円、10皿で7000円、
それぞれ好きな料理を3皿、4皿指定してあとはシェフのお任せ。
グループは全員同じ物を頼むことになります。
一人一人が別の料理を選ぶ事は出来ません。
ライターやネットでは
このシステムを客の意向を反映していると絶賛していますが、
実は巧妙な戦略が裏にあります。
ピータン豆腐、黒酢を使った料理など
店の評判料理を頼むだけですぐ3皿、4皿になります。
つまり、後は歩留まりを考えた
店側の都合の良い料理が出てくる可能性があるのです。
評価本では濃い料理と淡い料理が
バランスよくでるとありましたが、
私たちは2度目の方がいらっしゃったので、
定番料理ではなく淡い料理を指定すると、
インパクトを受けない料理だけになりました。

肝心の料理ですが、量は充分ながら、
家庭料理の延長線上にある創作系の物。
良く言えば和のテイスト云々となりますが、
「こんな中華食べた事がない」といった感想を見るとおり、
ここの料理は中華ではないと考えた方が良い。
限られた空間、密室性から客と店側で一体感を持ちやすく、
予想外の変わった料理。
人気シェフやマスコミが絶賛しているので
判断を間違えやすいですが、冷静に味わうと
巷の評価が上げ底だということに気がつくはずです。
私の周りの人たちも、数ヵ月後に再訪した際落胆した、
という意見を良く聞きます。
多分2度目はニュートラルな精神状態で味わったのでしょう。

1960年代のフランスワインが安めの価格でありますが、
その場で頼んで満足できるサービスができるのか、
またこの料理に対して必要性があるのか疑問です。

<結論>
まったくの過大評価の店と考えます。
一人当たりのコストは1万円かからず、
10種の創作料理を食べられるので、
話のタネに1回は訪れてもいいかもしれません。
電気屋の2階でなく場所は南青山、
そして大箱なホールで同じ料理を出したらどうなるでしょうか。
人気シェフのお勧め特集を素直に信じてはいけません。


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