自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第140回
初訪問、リストランテ スカレッタ

<事前情報>
1.三島にあったイタリアン、昨年青山へ移転してきた。
2.スカレッタはイタリア語で「梯子」。
  店内の壁に梯子がかかっているらしい。
3.マダムがソムリエ。
4.最近は業界系で結構名が知られているらしい。

<訪問結果>
立地

渋谷から徒歩でも12〜3分。
青山学院ちかくのちょっと脇に入った所。
近辺にはビストロなど結構外から見るだけですが、
良さそうな料理店が点在しています。
あの「ラ ブランシュ」もすぐ近くです。

外観・内装
奥に深い、間口がやや狭い店ですが、
こじんまりとした嫌味のない店構えです。
入り口付近にカウンターがあります。
深夜まで営業しているそうなので、
バー的な使い方もあるのでしょうが、
この手のレベルのイタリアンとしては
ちょっともったいないスペース。
日本の食事時である19時や20時では、
ほとんど活用されていませんでした。
テーブル席は20席くらいでしょうか。
奥の梯子が飾られた壁面のテーブルは良いのですが、
厨房横で横幅が狭くなっている部分のテーブルは
落ち着かないと思います。
予約時には席の位置も確認することをお勧めします。

サービス
ホールスタッフは3名。うちソムリエ役がマダムです。
満席まではいきませんが、平日でも8割がたの入り。
札幌からでてきた「オハラ‘ス」よりは順調と判断します。
収容数が少ないので、スタッフ数はこれで充分。
厨房は確認できませんでしたが、
料理出しのタイミングも悪くはありません。
そして嬉しいことに、この店はサービス料をとりません。

料理
コース主体の設定で、5800円がプリフィクス、
8000円がシェフお任せです。
マダムではなく、男性スタッフに聞いたのがいけなかったのか、
お任せは何がでてくるか答えられません。
これでは、誰もお任せコースを頼まないでしょう。
前菜、パスタ、メインと各5種類ほどから選べますから、
初訪問の人はこれで充分でしょう。
私は再訪の時も同じくプリフィクスにしました。
いくつかの皿に300円とか500円の追加が設定されていましたが、
サービス料をとらない経営姿勢なら、
ここは潔くコースを6000円としてでも、
追加料金を設定しないほうが客に受けると思います。
前菜はイマイチなものにも当たりましたが、
フォアグラとナスのテリーヌはなかなかおいしい。
パスタはスペシャリテのカラスミ、シラスのフェデリーニのほか、
手打ち麺もなかなか。
メインも豚や魚と一応試しましたが、
この価格なら食後に不満は残りません。

ワイン
安い値付けです。
フェラーリという一般的なノンヴィンのスプマンテが5300円。
他のスティルワインも小売の1.5倍前後と良心的なリストです。
なかには、レアでマニアックなワインが
最近の小売より安く設定されていました。
安い時期に入手したようですが、
市場価格に連動させないところは感心です。
高いワインになるほど、
掛け率を減らしているのは当たり前ですが、
その傾向が顕著な良心的なワインリストでした。

その他
割と手頃な価格で、それなりのイタリアン。
若い人が多いのかと考えがちですが、客層がちょっと違います。
男性客だけの組もありますし、
どうみても夫婦でない中年、初老のカップルが目立つのです。
今のところ、お忍び系の店として
口コミで伝わっているのでしょうか。

<結論>
1.ワインも安く、サービス料をとらないし、CPの良い店。
2.料理は「リストランテ キオラ」ほどの主張を感じない
  おとなしいものだが、パスタをはじめ
  料理は値段を考えるとうまい部類。
3.久しぶりに癖のない、接しやすいマダムに出会いました。
4.再訪も可。
  実際しましたが、そのときでも5800円のコースで充分です。
5.予算は一人適度なワインを飲んで、一人1万円強。


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