| 第109回ソムリエの実力・実態 その12
 グラスワインのラインナップ
 前にも述べましたが、最近のフレンチ、イタリアンでは「バイ ザ グラス」
 つまり、グラスワインを用意している店が多くなりました。
 ほとんどの店には種類の多少の違いはあるにしても、
 用意されているシステムです。
 でも、結構、このグラスワインというものは難しいと思うのです。
 まず、何種類設定するか。どのようなクラスのワインにするか。
 これだけ店の開店ラッシュが続くと、
 色々客の要求に答えて他の店との差別化をして、
 集客を図ろうと考えるものです。
 カリスマシェフが居る、マスコミに好意的に取り上げてもらう、
 といった恵まれた店ならば
 そのような努力はあまり必要ではないかもしれませんが、
 料理のほかに、内装、ワインの在庫など
 セールスポイントをつくらなければ注目をなかなか浴びません。
 特に中級店以下ですと、ワインはボトルよりグラスで頼む人の方が多いと思います。
 カップルだけではなく、
 女性同士の比率が多いことも要因でしょう。
 パターンとしては、食事に合わせて白、赤と
 1杯ずつグラスで頼むことが想定できます。
 あっさり系やコッテリ系など人の好みは異なりますから、
 品種の異なるワインのほか、
 高級、廉価といくつも用意するのが理想ですが、
 歩留まりを考えなければなりません。
 抜栓したワインは、いくら厚かましい店でも
 1週間も使いまわすことはしないでしょうから、
 売り残りはなるべく避けたいものです。
 2〜3日ではけるように
 用意する種類を、客層から判断して決めなければなりません。
 よほどのマニアックな店でないかぎり、
 1杯2000円以上はとれませんから、
 ワインの格もおのずと限られてきます。
 店の利益に対するポリシーで違いがでますが、
 バイ ザ グラス制度で十分利益を上げるためには、
 あまり格上のワインは期待できないのです。
 私の考えでは、女性はやはり白を好む傾向にあると思います。よく飲む男性とのカップルでも、赤はボトルで頼んでも、
 白までボトルで飲める組はすくないですから、
 白はグラスになるはずです。
 つまり、白ワインの方が回転するのです。
 赤は需要が白より少ないので、
 コッテリ、あっさりなど2〜3種のワインで
 そう客から文句は来ないでしょう。
 うるさい客は、赤はボトルで頼みます。
 この場合、白はあまり内容を問題視せず、
 アルコール補填の位置づけになる場合も多いでしょう。
 白のグラスワインを頼む客は、数は多いですが、
 あまり詳しくワインを要求する客は少ないと考えます。
 よく回転する白ワインで、客のためを考えて、
 色々な種類のワインを適正価格でいくつも用意するか、
 どうせ注文が多いからと考えて種類を用意せず、
 しかも安いワインで1000円以上とって
 利益をあげようと考えるか、
 そこにオーナー、ソムリエの性格がでてくるところと考えます。
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