| 第64回料理評論家、フードジャーナリストの習性・実態 その5
 不必要な料理人へのヨイショ
 最近料理人の本が目立ちませんか。小野二郎氏の確か「旬を握る」は
 8000部ほど売れたと聞いています。それにあやかりたいのか、
 「みかわ」や「竹やぶ」もだしてきました。
 これらの本に共通しているのが、口語体の文章と後半の部分をしめるQ&Aというか座談会です。
 なかなか時間がとれないので彼らのしゃべりを口述筆記し、
 ボリュームを確保する為に座談会をはさんでいるのでしょう。
 特に二郎さんの本は、ネタの旬というものの考え方、
 鮪の部位やさばき方など参考になるところがありました。
 独特の価値観、接客方針などのお仕着せには閉口しますが。
 これらの本は、彼ら料理人本人が書いていることに
 なっていますから、鼻につく驕った口調、
 勘違い発言などに目くじら立てて取り上げることはありません。
 買って読まなければいいのですから。
 しかし、おいしい店に行きたい、と参考に買った料理店評価本、ガイドブック、配信メール(有料)における、
 料理評論家、フードジャーナリストの
 臆面もないヨイショ記述は問題です。
 店構え、雰囲気、食材、料理の味わい、サービス、
 酒類、価格、経営姿勢などのバランスを考えて評価すべきですが、
 彼らはやたらと料理人との親密感を強調した記述をします。
 料理人の本心ではない、その場凌ぎのPR口上や
 修行歴をそのまま垂れ流し、
 いかに仲が良い、信頼されているかを述べたがります。
 料理人に迎合することによって、
 今後もおいしい「特別料理」の提供と、
 ライターとしての今後の地位安定を狙っているからでしょう。
 でも、読者や一般客にとって、実態のともなっていない
 彼らライターの「ヨイショ記事」は
 まったく意味がないのはおわかりですね。
 鮨業界では「神」にまで祭り上げられた二郎氏の「神業」などを詳しく述べようと企画している山本益博氏も、
 マーケティングしているのでしょうか。
 心技体が伴わない人を「名人」として
 「神」として祭り上げるその究極の「ヨイショ」に
 私は大きな疑問を持つのです。
 一見客や常連でない客に対する「客を客とも思わない」経営姿勢。
 そして傲岸不遜な発言。
 一度でも店を訪問した客で、
 二郎氏親子に「人柄の良さ」を感じ取る人がいるとは思えません。
 なぜこのような料理人たちをあたかも「極めた人、完成された人」のように持ち上げて紹介するのか、
 公に疑問を呈する人が少ないのが残念です。
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