自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第62回
料理評論家、フードジャーナリストの習性 その4
群れをなし、決まった行動範囲

一言でフードジャーナリストと言ってしまいますが、
定義があるわけではありません。
放送作家を含めて、「食」に興味をもつ書き手(ライター)を
一まとめにしていると思います。曖昧な職種です。
お店や料理に関して、雑誌や週刊誌に甘い評価やコメント、
紹介文を書く機会をもてれば誰でも名乗ることが出来るでしょう。
でも、よく本屋などで探してみてください。
彼らは一人では一冊の評価本として著していないのに
気がつきませんか。横川潤氏を除いて。
雑誌などでは、毎週紹介コーナーとして掲載していたり、
特集記事を担当していたりしているのですが、
巷の評価本、紹介本は料理評論家と言われている
数人の人以外は著者として見当たりません。
評価本、紹介本は出版社自身の編集ものがほとんどです。
取材した店12,000店と豪語している犬養裕美子氏ならば、
その豊富な取材データがあれば、
何十冊も本が書けると思うのです。
でも、ありません。なぜでしょうか。
雑誌などではカメラマン、編集者とともに
フードジャーナリストがチームとして行動しているので、
まとめやすいのでしょう。
ポリシーなき店の紹介として、シェフの経歴、
シェフのモットーなどPRをしているだけなので、
一冊にまとめるのが無理なのかもしれません。

そこで彼らがとった方策が、「共著」です。
「東京最高のレストラン」では6人の「食べ手のプロ?」が
評価と座談会形式で一冊を形成しています。
彼らの取り上げている店、発言を注意深く読んでいて
気がついたことは、同じような地域、店に集中していることです。
多分彼ら業界人が心地よく感じる雰囲気の店、
歓迎してくれる料理人というものがある意味、
確立しているのでしょう。
狭い業界のようで、横の連絡も
頻繁に取られているようにも受け取れます。
つまり、彼らの取材方針、店選びや評価の
基準は似たようなものなのです。
異質なことを試そう、
今までの取材方針に異論を唱えようとしても、
長くこの業界では「既存のライターとして」
長続きできないようです。

料理評論家として大きな影響力のある山本益博氏も最近は、
横川潤氏や、ワインジャーナリストの出石女史と
グループで行動していると聞いています。
つまり、この3人の評価基準は
ほとんど同じということなのでしょう。

既存の料理評論家、フードジャーナリストの評価基準に対して
異論のある一般読者のために、
この業界もより活性化して色々な意見、評価基準を持つ書き手が
もっと現れて欲しいとおもうのは私だけではないはずです。


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