| 第42回高い地代と料理価格の関係
 森ビルなどの再開発地域の賃料が、いかに客に負担になっているかを
 シミュレーションしてみましょう。
 新しい高層ビル、再開発地域は強気の賃料設定となっています。仮に坪単価込み込みで5万円としてみましょう。
 比較的ゆったり目、ゴージャス感を持たせる
 この手のビル内の店は、厨房やその他の共有スペースも含めると、
 一人当たりの占有面積は3〜4坪ほどでしょう。
 仮に3坪としてください。
 一人当たりの占有面積に相当する月額の賃料は15万円になります。
 特に大箱なレストランは年中無休が条件ですから、1ヶ月30日営業とします。昼夜共に1回転営業と考えると、
 延べ60人になります。
 つまり、一人当たりの客の賃料負担は2500円。
 フレンチやイタリアン、懐石風和食の場合は
 2回転できませんから、この2500円がそのまま客一人の負担です。
 黙って座っただけで、2500円店に払わないとペイしないのです。
 フレンチやイタリアンの中上級店は普通1万円が限界ですから、なんと料理価格の25%を占めることになるのです。
 一般に言われている食材比率は30%以下。
 でも既にこの二つの要素だけで
 料理価格の50%を超えてしまっています。
 年中無休に対応するためのスタッフ勤務体系は、
 サービスを落とさないなら
 余分な人員を抱えることになりますから、
 人件費を加えたらこれでは本当に厳しい。
 よって、店の対応は2つの対応をとらざるを得ないのです。1つは売値を上げるということ。
 「モナリザ」、「宮下」(共に丸ビル)など
 本店よりかなり高い価格設定で出店してきています。
 もう1つは、コストの切り詰めです。
 つまり、売値をかえず食材費率を落として
 粗利幅を増やす方法です。
 どちらも、味を分子、コストを分母に例えた
 CP感は悪くなるのは当然です。
 夜景を最重要視せず、味わい、CPを追及するならばやはり、
 「森ビル内の飲食店には行くべからず」となるのです。
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