| 第39回ただのカウンター居酒屋か、「とらたつま」(四谷荒木町)
 この店も、意外性というか独特の雰囲気の街並みにあり、店名が変わっていて、普通のレベルの居酒屋料理を出し、
 「東京最高のレストラン」関係の業界人の溜まり場、
 といった「立地の悪い、しかし過剰評価されている街場の店」の
 条件を満たしています。
 この本では、東京のベスト10にランクインする
 和食の店のような印象を与える記述が随所にみられるのですが、
 果たして真に受けて訪れた一般客が納得するでしょうか。
 9000円のお任せコースがお勧めのようですが、価格の割に味はもとより量も満足できるものではありません。
 食材も最後の締めに鮭茶漬けが出るくらいですから、
 コース値段の割にお得感を与えてくれません。
 お椀の出汁で勝負するものはなく、造り、揚げ物、焼き物などに
 高級感をまったくもたない食材の料理が淡々と続いて出ます。
 どこにも、「東京最高のレストラン」で
 特筆されるべきものが見当たらないのです。
 恐らく、この店の主人も
 下手に持ち上げられて戸惑っているのではないでしょうか。
 執筆陣には居心地の良く感じる店なのでしょう。
 21時を過ぎればコースではなく
 アラカルトでつまめる営業とのことで、近場の人、
 特に業界人には便利な店なのかもしれません。
 でも、一般客がわざわざ出かけていくほどの店ではない、
 本当に街場の店と言えます。
 主人は目立たず、質問には真摯に答えてくれましたし嫌味を感じさせない人でした。
 それだけに実力以上にはやし立てるのは、
 長い目で見て店、主人の為にも
 やってはいけないことだと思うのです。
 明日は、同じ人気店でも私が思うところの「CPの良い店」を一つ上げてみたいと思います。
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